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差向い
「差向い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
差向いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
た偶然にもある予想外な事件に出合ったので、とうとう前約を果し旁《かたがた》、彼と
差向いになる機会を利用して、直接彼に私の心労を打ち明けようと思い立ったのです。
....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
らしい。)
譚は鴇婦と話した後《のち》、大きい紅木《こうぼく》のテエブルヘ僕と
差向いに腰を下ろした。それから彼女の運んで来た活版刷の局票の上へ芸者の名前を書き....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
い罪だろうと思います。何故と云えば一二年以前、この事件の当事者が、ある夏の夜私と
差向いで、こうこう云う不思議に出遇った事があると、詳しい話をしてくれた時には、私....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
よりも一層話したかったに相違ないが、年の至らぬのと浮いた心のない二人は、なかなか
差向いでそんな話は出来なかった。しばらくは無言でぼんやり時間を過ごすうちに、一列....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ら、太く憂わしげな面色で。 実際|鬱込んでいるのはなぜか。 忘れてはならぬ、
差向いに酒井先生が、何となく、主税を睨むがごとくにしていることを。 ....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
」と言いながら、一人が、下からまた差覗いた。 「家の娘かね。」 と子爵が訊く。
差向いに居た民弥が、 「いいえ。」 「何です。」 「やっぱり通り魔の類でしょうな....
「春昼」より 著者:泉鏡花
、戸外へは水を打って、軒の提灯にはまだ火を点さぬ、溝石から往来へ縁台を跨がせて、
差向いに将棊を行っています。端の歩が附木、お定りの奴で。 用なしの身体ゆえ、客....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
三羽とも無言にて近づき、手伝う状にて、二脚のズック製、おなじ組立ての床几を卓子の
差向いに置く。 初の烏、また、旅行用手提げの中より、葡萄酒の瓶を取出だし卓子の上....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
すか。」 と、小次郎法師の旅僧は法衣の袖を掻合せる。 障子を開けて縁の端近に
差向いに坐ったのは、少い人、すなわち黒門の客である。 障子も普通よりは幅が広く....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ておくんなさいまし。」と女房は市松の畳の端から、薄く腰を掛込んで、土間を切って、
差向いに銚子を取った。 「飛んでもない事、お忙しいに。」 「いえな、内じゃ芸妓屋....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、僕はそのね、何も本職というわけじゃないんだよ。」 となぜか弱い音を吹いた……
差向いをずり下って、割膝で畏った半纏着の欣八刑事、風受けの可い勢に乗じて、土蜘蛛....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
九 「失礼な、どうも奥様をお呼立て申しまして済みません。でも、お
差向いの処へ、他人が出ましてはかえってお妨げ、と存じまして、ねえ、旦那。」 と....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
たように、箸の尖を動かして、赤福の赤きを顧みず、煮染の皿の黒い蒲鉾を挟んだ、客と
差向いに、背屈みして、 「旦那様、決してあなた、勿体ない、お急立て申しますわけで....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
ふっくり揺れて…差俯向く。 「本望どすな。」 と莞爾して、急に上げた瓜核顔が、
差向いに軽く仰向いた、眉の和やかさを見た目には、擬宝珠が花の雲に乗り、霞がほんの....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の一対の小さなお膳を、お夏さんが自分の前に置いて、もう一個の方を向うへならべて、
差向いという形で居なすったが、前には誰も見えなかったんです。 指を丸げた様な蒔....