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差当り
「差当り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
差当りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
が》りからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、下人は、何をおいても
差当り明日《あす》の暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、ど....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
つくにはまだ十時間ある訳だ。いつでも畳を上げられる用意さえして置けば、住居の方は
差当り心配はないとしても、もう捨てて置けないのは牛舎だ。尿板の後方へは水がついて....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
めに、祝すべき事ではない。 あえて人の憂を見て喜ぶような男ではないが、さりとて
差当りああした中の礼之進のために、その憂を憂として悲むほどの君子でもなかろう。悪....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
とは思わぬ。 「いえ、かねてお諭しでもござりますし、不断十分に注意はしまするが、
差当り、火の用心と申すではござりませぬ。……やがて、」 と例の渋い顔で、横手の....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
んでな、所望ですわ。」 成程、民弥は聞くばかりで、まだ一題も話さなかった。 「
差当り心当りが無いものですから、」 とその声も暗さを辿って、 「皆さんが実によ....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
主任は脳髄の痺れるのを感じた。が、その疑問は疑問として、とにかく天井裏の屍体も、
差当り放っては置けなかった。 やがて、発見者の刑事を先頭に赤羽主任や刑事連は、....
「春昼」より 著者:泉鏡花
ませんので、行届かんがちでございますよ。」 「随分御参詣はありますか。」 先ず
差当り言うことはこれであった。 出家は頷くようにして、机の前に座を斜めに整然と....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
は出来ないのだ。今に犯人は歎くことであろう」と呟くようにいった。 「その外に何か
差当りのご用は……」 と、大寺警部が、遠慮がちに訊いた。と、長谷戸検事は、われ....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
と思い、彼女は勇躍大胆にも単身○○に乗りこんで、ホテル・ローズの客となった。まず
差当りの仕事は、鬼仏洞の見取図を出して秘密の部屋割を暗記することだった。彼女はそ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
れこそ談話じゃ。(と小膝を拍て)面白い。話しましょう。……が、さて談話というて、
差当り――お茶代になるのじゃからって、長崎から強飯でもあるまいな。や、思出した。....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
、成程、ちょっと似ているかも知れません、もっとも黒い奴ですがな。」 「御主人――
差当りだけでも、そう肯定をなさるんなら、私が是非話したい事があるのです。現在、し....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
一言に釘を刺されて、私は遁ることも出来なくなった、……もっとも駆出すにした処で、
差当りそこいら雲を踏む心持、馬場も草もふわふわらしいに、足もぐらぐらとなっていて....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
利加人は惜しげもなく、三百|弗の小切手を一枚、婆さんの前へ投げてやりました。 「
差当りこれだけ取って置くさ。もしお婆さんの占いが当れば、その時は別に御礼をするか....
「小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
のような気がして来た。勿論今後猶接して見たら、又この意見も変るかも知れない。が、
差当り僕の見た小杉未醒氏は、気の弱い、思いやりに富んだ、時には毛嫌いも強そうな、....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
へ通り越す心持はしなかったので、挨拶も後日を期して、散策子は、やがて庵を辞した。
差当り、出家の物語について、何んの思慮もなく、批評も出来ず、感想も陳べられなかっ....