差押え[語句情報] »
差押え
「差押え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
差押えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
かしつして幾らかでも納めさせようとしたが、如何《どう》しても応じないので、財産を
差押えると威脅《おどか》した。仁右衛門は平気だった。押えようといって何を押えよう....
「豚群」より 著者:黒島伝治
作料の代りに、今、相場が高くって、百姓の生活を支える唯一の手だてになっている豚を
差押えようとしていた。それに対して、百姓達は押えに来た際、豚を柵から出して野に放....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
なうまいことはなかった。 田と畠を頼母子講の抵当に書きこみ、或は借金のかわりに
差押えられようとしていた自作農は、親爺だけじゃなかった。庄兵衛も作右衛門も、藤太....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
倉さんは詐欺でもやったらしいんだね。それで捕まると之が取返されるだろう。抛といて
差押えでも食うと困るから、急いで名義を書変えるんだろうさ」 「それに奥さんは美人....
「家」より 著者:島崎藤村
る、それに俺が判を捺いてる。そこで銀行の連中がこういう時だと思って、その六千円を
差押えて了った……到頭俺は橋本の家の為に千五百円ばかり取られた――苛酷いことをす....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
私たちは最近の訴訟事件から談話に枝が咲いて、
差押えということについて話し合っていた。それはルー・ド・グレネルの古い別荘で、親....
「心霊殺人事件」より 著者:坂口安吾
うです ――応接間にはガラクタを並べておくのですか ――商売が高利貸ですから
差押えで仕方なしにガラクタがふえるんですね。家中どの部屋も床の間の違い棚や飾り棚....
「光は影を」より 著者:岸田国士
に見るに忍びなかつた。 母は、泣くにも泣けず、たゞ、茫然と、あちこちに貼られた
差押えの紙ぎれを眺めて、立ちすくんでいる。 妹二人は、存外、覚悟のよいところを....
「入営する青年たちは何をなすべきか」より 著者:黒島伝治
、工場主の賃銀の値下げがある。馘首がある。地主の小作料の引上げや、立入禁止、又も
差押えがある。労働者は、働いても食うことが出来ない。働くにも働く仕事を奪われる。....
「慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
の報告によれば、小牧は東京にて相当の生活を営みいたりしが、磯貝の父のために財産を
差押えられ、妻子にわかれて流転の末に、鹿沼の町にて職工となりたる也。兇行の当夜は....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
で、税金の滞納額二万七千円に対して、去年の九月初めに、火鉢、茶ぶ台、衝立の三点を
差押えられてしまいました。 それから一月ばかり経った十月の十三日、丁度主人の留....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
が、本人が私の弟子のツモリでいることはマチガイがなかった。 私が伊東で税務署の
差押えをうけ、それが東京の新聞の雑報にも報じられたとき、その翌日、彼は火事見舞い....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
雪の深い北海道に渡ってきたのだった。彼等も亦自分達の食料として取って置いた米さえ
差押えられて、軒下に積まさっていながら、それに指一本つけることの出来ない「小作人....
「俗臭」より 著者:織田作之助
を伝三郎に送った。伝三郎は蒼くなって、電話の名儀を他人名儀にしたりして権右衛門の
差押えにそなえた。 ある日、権右衛門は高利貸の如き折鞄をもって伝三郎の家へやっ....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
明四年八月にも、宇治猿楽が神事の勤仕を怠ったので、十座どもを召して、彼らの荷物を
差押えしめ、国中の唱門どもにもこの旨を触れしめたことがあった。これによって宇治猿....