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差控え
「差控え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
差控えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
真中へ立ったから、余り人目に立つので、こなたから進んで出て、声を掛けるのは憚って
差控えた。 そうしてお妙が気が付かないで、すらすらと行過ぎたのが、主税は何とな....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
さんは天誅に値する方ですか」 「故人の罪悪をここで一々復習して死屍に鞭打つことは
差控えましょう。とにかく彼の行状はよくなかった」 「あなたは、硝子窓を外から押し....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
構わん、四五人|木遣で曳いて来い。」 と肩を張って大きに力む。 女中酌の手を
差控えて、銚子を、膝に、と真直に立てながら、 「さあ、今あっちの座敷で、もう一人....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
がためにのみ、そうするのであるように見て取られて、私はしばらく、壜の口を抜くのを
差控えたほどであった。 汽車に連るる、野も、畑も、畑の薄も、薄に交る紅の木の葉....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
かくれたが、枝折戸を開いた侍女は、二人とも立花の背後に、しとやかに手を膝に垂れて
差控えた。 立花は言葉をかけようと思ったけれども、我を敬うことかくのごときは、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
私は一|時は神様も怨みました……人を呪いもいたしました……何卒その頃の物語り丈は
差控えさせて戴きます……。 大江家の一人娘が何故他家へ嫁いだか、と仰せでござい....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
病苦悩に煩わされて居る時にも、われ等の認可を受けた上でなければ、成るべく、交霊を
差控えるがよい。同様に肉体が食物で充填し切って居る時も、兎角下級霊の為めに先手を....
「明治十年前後」より 著者:淡島寒月
館発行)の中に、この頃の私のことは書いてあるから、私の口から申すのはこれくらいで
差控えて置きたいと思う。 私も愛鶴軒と言って『読売新聞』に投書していたが、あま....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
数に入らない。未荘の人は本来城内に行くことは少いのに、たまたま行く用事があっても
差控えてしまうから、この危険にぶつかる者も少い。阿Qも城内に行って友達に逢いたい....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
た。 この土地冬は雪多く、夏は又蚊が少くないのであった。団扇使いは御寝の妨げと
差控え、その代り名香をふんだんに、蚊遣り火の如く焚くのは怠らなかった。それも併し....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
致し居るとか。実際であろうな」 「能く御存じで、実は出羽様の天城屋敷御入りの為、
差控え、御帰りを待って内々その運びにという事で……それを能くあなた様には御存じで....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
立会った程な、この度のことに就いては浅からん縁がありますけれども、実は遠慮をして
差控えていたのでがす。しかし、経過が、どうか。容体が、どうか。気になって、どうも....
「越年」より 著者:岡本かの子
え」 加奈江がつくづく感じたことを溜息と一緒に打ち明けたので、明子も自分からは
差控えていたことを話した。 「私このごろ眼がまわるのよ。始終|雑沓する人の顔を一....
「妖影」より 著者:大倉燁子
なんて、考えてみると情けなくなっちまう。好きなダンスもやれないし、バアへ行くのも
差控えているのだ。三十歳の若さだのに、と私は急に詰らなくなった。 私は舌打ちし....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
ざいますよ。大切にされ、心から親しまれ、可愛がられるといくら悪辣な女でも、そこは
差控える気になって非道いことは出来なくなるものなんです。尤も私の場合は違います。....