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「差足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

差足の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星あかり」より 著者:泉鏡花
ので、夜更に里人の懐疑を受けはしないかという懸念から、誰も咎めはせぬのに、抜足、差足、音は立てまいと思うほど、なお下駄の響が胸を打って、耳を貫く。 何か、自分....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
をひしと打敲きつ、首を縮め、杖をつき、徐ろに歩を回らしける。 その背後より抜足差足、密に後をつけて行く一人の老媼あり。これかのお通の召使が、未だ何人も知り得ざ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
うな拳を二つ、耳の処へ威すがごとく、張肱に、しっかと握って、腰をくなくなと、抜足差足。 で、目を据え、眉を張って、行燈に擦寄り擦寄り、 「はて、何に映った顔だ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
日天下にしろ天下の将軍職についた、惟任光秀《これとうみつひで》ともあろうものが、差足抜足《さしあしぬきあし》うかがい寄って、敵の大将の寝首を竹槍で突っつき取ろう....
ワンダ・ブック――少年・少女のために――」より 著者:ホーソーンナサニエル
と思ったからでした。しかしちょうどその時には、彼は何もそんなに、抜足《ぬきあし》差足《さしあし》で行く必要はなかったのです。彼が好きなだけ大きな足音を立てても―....
」より 著者:秋田滋
いてゆくと、まもなく、マランヴェール路の方角にあたって、幽かな灯影が見えた。抜足差足、跫音を忍ばせて墓石と墓石のあいだを歩いて行き、彼は眼を覆わしめるような冒涜....
南極の怪事」より 著者:押川春浪
が、さりとて海賊等がいかになりしかを知らぬうちは安心できず、ついに意を決し、抜足差足して昇降口の方に向えり、梯子を半ば昇りて耳を澄ますにやはり人声は聴えず、心づ....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
して耳を澄まし、何やら烈しい恐怖感に襲われ、文麻呂が眼をつむっているすきに、抜足差足で左方にこそこそ逃げて行こうとする) 行者達の声、鈴の音、だんだん近く。 文....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
おうか、例えば身軽な賊の忍ぶような。 「開けて見べえ。」 内にも忍ぶ二人、抜足差足縁側へ出て、不浄場近い一枚をそうっと引いた。 「灯を消せ。」 真の暗黒。 ....