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己心
「己心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
己心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
れと共に私の道徳感情も亀裂《きれつ》を生じなかったと申せましょう。どうして私の利
己心も火の手を揚げなかったと申せましょう。私はここに立ち至ってやはり妻を殺したの....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
「愛《アムウル》のある結婚」を主張していたのを覚えているだろう。あれは僕が僕の利
己心を満足させたいための主張じゃない。僕は愛《アムウル》をすべての上に置いた結果....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
の人が必ず、来るとは云われないだろう。が、私はあの人を頼みにしている。あの人の利
己心を頼みにしている。いや、利
己心が起させる卑しい恐怖を頼みにしている。だから私....
「路上」より 著者:芥川竜之介
、それよりも二人の愛は、どちらが本当の愛なのだろう。野村の愛が幻か。大井の愛が利
己心か。それとも両方がそれぞれの意味で、やはり為《いつわり》のない愛だろうか。そ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
だつ》結婚を弁護しなければならぬ。
又
子供に対する母親の愛は最も利
己心のない愛である。が、利
己心のない愛は必ずしも子供の養育に最も適したものではな....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
己的に生れたに違いない。彼の臆病な心は先輩や案内に迷惑をかけることを恐れ、彼の利
己心は足手まといの後輩を喜ばず、ついに心のおもむくがまま独りの山旅へと進んで行っ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
」 「すなわち悪魔降下のためよ」 「その悪魔はどこにいるな?」 「内に察しては自
己心内! 外に探っては一切万物!」 「悪魔降下の手段はな?」 「ある時は殺人剣、....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
。その氏はしかも愛を骨子とする宗教論のなかに「本質を異にせるものの相互の関係は利
己心の外に成り立つことはできないのである」といってる。私は自己存在に実在的に醒め....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
多く自己の仕事を考えた人達であった。かの地上にありし日のイエスこそは、正に高き克
己心と、清き熱誠との権化ではなかったか。彼は飽までも自己を抑えて、真理の為めに一....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
は、ある程度までは自分の名声とともに致命傷を負わされなければならないのを恐れる利
己心と、船長として船客が海へ落ち込むのを放任しておくわけにはゆかないという義務的....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
詮議よりもむしろその方をよろこんでいたのだろう。そこに父の平生抑えていて弛めぬ克
己心の発露がある。こうして父は苦行の道を択んで一生を過したといって好い。 こん....
「髪」より 著者:織田作之助
。そのため彼等はやがて高等文官試験に合格した日、下宿の娘の誘惑に陥らないような克
己心を養うことに、不断の努力をはらっていた。もっとも手ぐらいは握っても、それ以上....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
跡にしたと思っておったが、これは誤りで、智識は高くなっても、やはり人間の弱点や利
己心は消えぬものだということを悟りました」と答えた。 科学上の発見の話が出ると....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
後に見て悔いるような作品をつくることはございません。私がいささかでもこの気魄と克
己心を持っておりますのは、母から受けついだ血であり、母の励ましのお陰であろうと思....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
政枝が思いやりもなく責めるのも、可愛相より時には怖しく聞く多可子は、その病的な利
己心にそら怖ろしい気がするのであった。 華岡は当惑して暫らく傍観していたが、「....