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「己惚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

己惚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
を動かした。市兵衛がこういう話をする後ろには、いつも作者に材料を与えてやるという己惚《うぬぼ》れがひそんでいる。その己惚れはもちろん、よく馬琴の癇《かん》にさわ....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
活《れいかつ》な解決を与え得るほど、融通の利《き》く頭脳の持ち主だとは遺憾ながら己惚《うぬぼ》れる事が出来なかった。すると彼は私の逡巡《しゅんじゅん》に早くも気....
十円札」より 著者:芥川竜之介
だけでも確かに間《ま》に合って行った。のみならず彼の洒落《しゃ》れるよりもむしろ己惚《うぬぼ》れるのを愛していたことは、――少くともその経済的意味を重んじていた....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
ただ、何故《なぜ》それを嘘だと思ったかと云われれば、それを嘘だと思った所に、己の己惚《うぬぼ》れがあると云われれば、己には元より抗弁するだけの理由はない。それに....
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
でも女でも同じように、※《うそ》はいうし、欲は深いし、焼餅《やきもち》は焼くし、己惚《うぬぼれ》は強いし、仲間同志殺し合うし、火はつけるし、泥棒《どろぼう》はす....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
なければならぬ。不肖行年六十一、まだ一度も芸術家のように莫迦莫迦《ばかばか》しい己惚《うぬぼ》れを起したことはない。」 批評学 ――佐佐木茂索君....
星座」より 著者:有島武郎
「あら」 「味が変っているといけないと思ってね、はははは……奥さん、僕はこれで己惚《うぬぼ》れが強いから、たいていの事は真に受けますよ。これから冗談はあらかじ....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
の上に鼻がのし掛っていて、まるで文楽人形の赤面みたいだが、彼はそれを雄大な顔だと己惚れていた。けれども、顔のことに触れられると、さすがに何がなし良い気持はしなか....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
が「信州にかくれもなき雲をつくような大男、雷様を下に見る不死身の強さは日本一」と己惚れた余りの驕慢の罰として、師の戸沢図書虎より忍術を封じられた挙句、虎の巻も捲....
」より 著者:織田作之助
の上に鼻がのしかかっていて、まるで文楽人形の赤面みたいだが、彼はそれを雄大な顔と己惚れていた。けれども、顔のことに触れられると、何がなしいい気持はしなかった。…....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
にせず、やっぱりひやかしだと思っていたが、阿Qは大層喜んだ。 阿Qはまた大層|己惚れが強く、未荘の人などはてんで彼の眼中にない。ひどいことには二人の「文童」に....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
は当然のこと、支店の自滅策としてこれ以上の効果的な方法はなかったと、いまもおれは己惚れている。しかしこれも弁解すれば、結果から見てのこと、何も計画的に支店をつぶ....
郷愁」より 著者:織田作之助
秋を知るとは古人の言だが、一行の落ちに新吉は人生を圧縮出来ると思っていた。いや、己惚れていた。そして、迷いもしなかった。現実を見る眼と、それを書く手の間にはつね....
露伴の出世咄」より 著者:内田魯庵
人も来た。預かってる原稿も山ほど積んであった。中には随分手前味噌の講釈をしたり、己惚半分の苦辛談を吹聴したりするものもあったが、読んで見ると物になりそうなは十に....
梟の眼」より 著者:大倉燁子
――、現場を見ないんだからねえ」 「じゃ、見せてやろうか」 「オホホホ。そんなに己惚れると失敗するわよ。耻を掻かせるといけないから、今日はおあずけにして、またこ....