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已む
「已む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
已むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
。彼はその場になって、かすかにでもそう感ぜねばならぬのが苦しかった。それゆえ彼は
已むを得ずますます口少なになった。何もかも一度に二人に言いきってしまった時に感じ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
かかる言葉に依頼して私はどうして私自身を誤りなく云い現わすことが出来よう。私は
已むを得ず言葉に潜む暗示により多くの頼みをかけなければならない。言葉は私を言い現....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
険千万である。注意を払って、見つけ次第逮捕するように。場合によっては、射殺するも
已むを得ない。逮捕又は射殺者には銀二千ドルの賞金を与える。……」 僕は、自分で....
「階段」より 著者:海野十三
理学士の絞殺も同一手段で行われたのであったが、学士が女史の犯跡を握っていたので、
已むを得ず殺害したものらしい。女史が僕にきかせた釦の話は、未だに解らないが、あの....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
は国外に限定を許されず、吾が植民地は勿論、東京大阪等の内地まで、戦闘区域とするの
已むなきに立至った。これは諸君に於て既に御承知の如く、主として航空機による攻撃力....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
エトワールは日頃に増してお客が立てこんでいた。客席は全部ふさがってしまったので、
已むを得ず、太い柱の陰にはなるが五六ヶ所ほど補助の卓子や椅子を出したが、これも忽....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
ろいろと苦しみながら遂行して来たが、今やお前たちに対する安全保証の任を抛棄するの
已むなきに至った。 おん身らは、死生を超越せねばならなくなったのだ。だが感傷的....
「火薬船」より 著者:海野十三
のかと、思った。 すると、またもや、ノルマンからの信号がやってきた。 「では、
已むを得ない。貴船は、あと五分ののち、撃沈されるであろう。嘘だと思うなら、貴船の....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
そこで少年は必死に逃げたが、遂に崖のところに追いつめられて絶体絶命となったので、
已むなく習い覚えた柔道の手でナイフを奪いとりざま、相手をつきとばした。その時運悪....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
すると、べりべりと破いて、机の下の屑籠のなかにポイと捨てた。始めからまた出直しの
已むなき仕儀とはなった。しかし彼は、さっきまでのように、時計の指針をあまり気にし....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
ね、お前さんは。」 「手前は柏屋でございます。」 小宮山は苦笑を致しましたが、
已む事を得ず、 「それじゃ柏屋の姉さん、一つ申上げることにしよう。」 「まあお酌....
「科学が臍を曲げた話」より 著者:海野十三
かない。だから四五倍の距離の空中まで呼び寄せられ、その辺でマゴマゴしている雷は、
已むを得ず人家や森を伝わって下に落ちねばならぬことになる――というのです。....
「キド効果」より 著者:海野十三
湮滅をはかるのだから、これは探し出そうという方が無理である。 遂に万策つきて、
已むなく木戸博士の出馬を乞わねばならぬこととなったわけだった。博士も自信は大して....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
この苦痛と困難とに打負くれば最早それまでにて滅茶々々に失敗致すべく、さうなつたら
已むを得ず日本へ遁帰りて再び生命を一枝の筆に托せざるを得ざるべきも、先づそれまで....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
の艶を増して鮮かに活動し、如何なる魚類にても、一度び之を見れば、必ず嚥下せずには
已むまじと思われ、愈必勝を期して疑わず。 二仕掛を左右舷に下し終り手を拭いて烟....