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巻尺
「巻尺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
巻尺の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
い匂いをたてていた。荒神橋の方に遠心乾燥器が草原に転っていた。そのあたりで測量の
巻尺が光っていた。 川水は荒神橋の下手で簾《すだれ》のようになって落ちている。....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
トルでしたね。じゃあきみ、この綱の長さを計って下さい」 三田村技手は、手もとの
巻尺ではかり始めた。 「……綱も紐も、両方とも二十六メートルずつあります」 「な....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
つはいずれも、乾板の破片が落ちている場所との間を往復していた。
法水は衣袋から
巻尺を取り出して、一々印像に当て靴跡の計測を始めた。套靴の方は、歩幅にはやや小刻....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
麦の上を、青葉に腹をすらんばかりに低く飛び交うた。 測量をする技師の一と組は、
巻尺と、赤と白のペンキを交互に塗ったボンデンや、測量機等を携えて、その麦畑の中を....
「S岬西洋婦人絞殺事件」より 著者:夢野久作
に計算した書類を差出しますが……」 と説明しながら犬田博士はポケットから小さな
巻尺を取出して、薄黄色と、薄黒の二つの斑紋間の距離を測定して手牒に記入した。 ....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
甲虫の落ちた地点に、すこぶる精確に杭《くい》を打ちこむと、友は今度はポケットから
巻尺を取り出した。それの一端を杭にいちばん近いその木の幹の一点に結びつけてから、....
「雪魔」より 著者:海野十三
をかけて、仲よしの二人は久しぶりに向きあった。東京から買って来たお土産の分度器と
巻尺が五助をたいへんよろこばせた。 「五助ちゃんは三日にあげず山へ行くってね。ど....
「火星兵団」より 著者:海野十三
つかれたことは?」
「それはほかでもない、わしが持っていた長さ五十メートルの長い
巻尺じゃ」
「
巻尺? あのぐるぐるまいて、ケースにはいっているあの
巻尺のことです....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
にげなくバッテーラのうちを見ますとな、笠を被って羅紗《らしゃ》の筒袖を着て、手に
巻尺と分銅《ふんどう》のようなものを持って舳先《へさき》に立っていた人、それがど....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
兎角体重が掛り勝ちになるからね」と法水は検事の疑念に答えてから、何んと思ったか、
巻尺を足跡の辺で縦にすると、それがコロコロ左手に転がって行く。彼はそれを無言の中....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
で行詰りたくない」 やがて秋森家の門前へつくと、蜂須賀巡査はポケットから大きな
巻尺を取り出し、雄太郎君に手伝わして、昨晩のあの石塀の奇蹟に就いての最も正確な測....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
す。 ある演し物の稽古中です。仮り縫いを合せに来た仕立屋の役をふられた俳優が、
巻尺の持ち方を知らなかったので、コポオは、見物席にいる俳優に、どうすればいいかと....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ムの床の上に靴跡が残っている。紙を刻んで丁重に靴型をとると、それを衣嚢におさめ、
巻尺を取出して上着の裾までの距離を測ると手帳を取出して、〇|米《メートル》八六と....
「澪標」より 著者:外村繁
「はい、こちらをお向きになって」 とく子は着物を直し、医者の方を向く。医者は
巻尺を持った手をとく子の背中に廻して、胸囲を計る。 「こう、踵を立てて下さい」 ....