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「巻葉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

巻葉の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一夜」より 著者:夏目漱石
着て剪《き》りし人の情《なさ》けを床《とこ》に眺《なが》むる莟《つぼみ》は一輪、巻葉は二つ。その葉を去る三寸ばかりの上に、天井から白金《しろがね》の糸を長く引い....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
人間に逢いませんでしたか?」 「逢いませんでしたよ」 と今度は、いままで黙って巻葉を燻らしていた黒塚氏が乗り出した。 「では、海の上に、白鮫号は見えませんでし....
旅愁」より 著者:横光利一
とき、暫らくはどちらも手紙の内容に関しては触れようとしなかった。睡蓮の新芽がまだ巻葉のまま水面に突き立っている他は、園内の木の葉は黄色を滲ませて美しかった。幾ら....
新緑」より 著者:宮本百合子
緑にしたたる様子を眺めるのも快い。近頃の自然こそ、人間が眠っている暗い夜の間にも巻葉の解かれるサッサッと云う微な戦ぎで天地を充たすようだ。 雨はやんだらしいが....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
宵の風情でしょう。モスク※で五月、俄《にわか》に樹々が新緑につつまれて夜気の中で巻葉のほぐれる戦《そよ》ぎがきこえるような夜を思い出します。空気は濃くてね。公園....
」より 著者:豊島与志雄
がっていった。そして六月のはじめ頃になって、小さな蓮の芽が出だしたけれども、その巻葉が開きかけると、しなしなと横に倒れて、四五寸くらいの大きさにしかならず、それ....
白塔の歌」より 著者:豊島与志雄
、散るためにのみ美しい蓮の花を讃美する者は誰ぞ、伸びそして拡がるために美しい蓮の巻葉の香を知る者は誰ぞ、という質問が提出されていました。槐の並木の白い小さな花が....
黄泉から」より 著者:久生十蘭
を敷いてませ垣をつくり、小笹の藪には小さな瓢箪と酸漿《ほおずき》がかかっていた。巻葉を添えた蓮の蕾。葛餅に砧巻。真菰で編んだ馬。蓮の葉に盛った団子と茄子の細切れ....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
、貸家を二軒立てました。右の方で目立つのは芭蕉でした。僅かの間にすくすくと伸び、巻葉が解けて拡がる時はみずみずしくて、心地のよいものです。花が咲いて蓮華のような....
百花園」より 著者:永井荷風
蒹葭が生えていたが、水は鉄漿のように黒くなって、蓮は既に根も絶えたのか浮葉もなく巻葉も見えず、この時節には噪しかるべき筈の蛙の声も聞えない。小禽や鴉の声も聞えな....
洛北深泥池の蓴菜」より 著者:北大路魯山人
じゅんさいというものは、古池に生ずる一種の藻草の新芽である。その新芽がちょうど蓮の巻葉のように細く巻かれた、ようよう長さ五分くらいのものを賞玩するのである。その針....