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巾広
「巾広〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
巾広の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
べたが、彼はこう云っている。 「帯は普通の女帯では勿論なく、又細紐でもなく、若干
巾広の女の用うる細帯でした。何分時が経つので、すっかり忘れて終いましたが、帯が普....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
って、高い船腹をすれずれに落ちて行った。彼は身体一杯酒臭かった。 赤い太鼓腹を
巾広く浮かばしている汽船や、積荷最中らしく海の中から片袖をグイと引張られてでもい....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
械の新鮮な赤ペンキの油ッ臭い匂いがプン/\鼻にきた。 就業のボーが波形の屋根を
巾広くひゞかせた。職長は二人位しか工場に姿を見せていない。事務所に行ってるらしか....
「山県有朋の靴」より 著者:佐々木味津三
ら、朱いろ、総塗り、無紋の竹胴をきっちりと胸につけて、下着も白の稽古襦袢、鉢巻も
巾広の白綸子、袴も白の小倉袴、上も下もただひといろの白の中に、真紅の胴をくっきり....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
を集めて具合よく敷きこんで、金、銀の丈長《たけなが》や、金銀をあしらった赤や緑の
巾広《はばひろ》の丈長を、種々の透しを切り込んで屏風をこしらえて、姐《あね》さま....
「株式仲買店々員」より 著者:ドイルアーサー・コナン
ていた。彼の目はたしかに生き返ったらしい光りを見せながら、まだ彼の喉にまいてある
巾広の赤色のバンドを彼はいじくっていた。 「新聞! そうだ!」 ホームズはひど....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
ん》に破いているところへ、玄関に人声がして、国平が取り次ぎに出た。お高は、手紙を
巾広く破いておいて、あとで、それを折ってはたきをこしらえましょうと思って、そのと....
「巷の声」より 著者:永井荷風
け、履物は草鞋をはかず草履か雪駄かをはいていた。道具を入れた笊《ざる》を肩先から
巾広《はばひろ》の真田《さなだ》の紐で、小脇に提《さ》げ、デーイデーイと押し出す....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
先に掛ります。この地方の蓑も特色があって、襟の周囲をきっと白と紺との麻糸で模様を
巾広く出します。藁沓で最も出来の美しいのは西置賜郡|東根村|浅立の産で、仕事が極....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
りまする。若草は藤掛色の室着を羽織り、山繭の長襦袢に、鴾色のしごきを乳の下から、
巾広にして身重の腹を締めて居りまする。髪は乱れたのを結び直して、また毀れたので鬢....