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市井
「市井〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
市井の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
う風に木崎は思いたかったのだ。 八重子はその頃十八か九だったという。相手の男は
市井無頼の不良の徒であった。十八か九の何も知らぬ小娘と不良少年、何という残酷さだ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
上野の森の辺で初対面のように知り合いになったときは、逸作はその桜色の顔に似合わず
市井老人のようなこころになっていた。わたくしが、あんまり青年にしては晒され過ぎて....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
が加えられる以前に、易介は自企的窒息を計ったのではないか――などという、すこぶる
市井の臆測に堕したような異説も現われたくらいである。ところが、その翌朝、すなわち....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
保存すべき郷土的人形や、玩具に対しても保護を加えて存続させたいものである。近来|
市井に見かける俗悪な色彩のペンキ塗のブリキ製玩具の如きは、幼年教育の上からいうも....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
場島ノ内である下町とをつなぐ坂であるだけに、寺町の回顧的な静けさと、ごみごみした
市井の賑かさがごっちゃになったような趣きがありました。 坂を降りて北へ折れると....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
く」というような書き出しの文章で、小説をはじめたりしない。「日本三文オペラ」や「
市井事」や「銀座八丁」の逞しい描写を喜ぶ読者は、「弥生さん」には失望したであろう....
「武田麟太郎追悼」より 著者:織田作之助
第三高等学校出身という点でもまた私の先輩である。しかも、武田さんは庶民作家として
市井事物一点張りに書いて来た。その点でも私は血縁を感じている。してみれば、文壇で....
「文学的饒舌」より 著者:織田作之助
るがまま」の人生観照が秋声ごのみの人生を何の誇張もなく「縮図」している見事さは、
市井事もの作家の武田麟太郎氏が私淑したのも無理はないと思われるくらいで、僕もまた....
「役者の一生」より 著者:折口信夫
生活を描いたもので、便宜上多少時代を離してはいる)・世話物(純粋の現代のもので、
市井の生活に取材したもの、個々に分離した立場に於ける武士なども出て来るが、主とし....
「作画について」より 著者:上村松園
び、土佐や浮世絵などをもくぐって来、それに附加して博物館とか神社仏閣の宝物什器、
市井の古画屏風を漁り、それぞれの美点と思われるところを摂取して、今日の私流の絵が....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
殿様の御機嫌を取るツモリでいるものでなければ誰とでも衝突した。一つは馬琴の人物が
市井の町家の型に適らず、戯作者仲間の空気とも、容れなかったからであろう。馬琴が蒲....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
ある妙に威張った態度は、戦争中と少しも変っていない。彼等は家庭に帰れば皆善良なる
市井人であり、職場では猫の口が喋る如く民主主義を唱え、杓子の耳が聴く如くそれに耳....
「民主主義」より 著者:織田作之助
った。しかし、人気者は誰も彼に会おうとしなかった。いうまでもなく彼は一介の無名の
市井人だった。 野坂参三なら既にして人気者であり、民主主義の本尊だから、誰とで....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
倆がありながら画名を売るを欲しないで、終に一回の書画会をだも開かなかったというは
市井町人の似而非風流の売名を屑しとしない椿岳の見識であろう。富有な旦那の冥利とし....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
性格を離れ燕趙悲歌的傾向を忘れて、天下国家的構想には少しも興味を持たないでやはり
市井情事のデリケートな心理の葛藤を題目としている。何十年来シベリヤの空を睨んで悶....