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布団
「布団〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
布団の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
ように、叮嚀《ていねい》な言葉を使っていた。そこへ着物を更《あらた》めた妻も羽根
布団《はねぶとん》やバスケットを運んで来た。「では行って参ります」妻は自分の前へ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ッチ帳を枕もとに引きよせて、垢じみた床の中にそのままもぐり込みながら、氷のような
布団の冷たさがからだの温みで暖まるまで、まじまじと目を見開いて、君の妹の寝顔を、....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
七 お狸様 僕の家には祖父の代からお狸様というものを祀っていた。それは赤い
布団にのった一対の狸の土偶だった。僕はこのお狸様にも何か恐怖を感じていた。お狸様....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
なんという厳重なしまりをしてある室なんだろう。 「君、鍵はありませんか」 女は
布団に顔を伏せたまま、かぶりを振るばかりだった。帆村は、ジリジリしてくる心をやっ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
葬送曲 磯崎神社前の海辺に組立てられた高さ五十尺の櫓の上には、薄汚れた一枚の座
布団を敷いて、祖父と孫とが、抱き合っていた。 「三ちゃんや、まだ何にも見えないか....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
八センチもあろうと思われる大きい銀玉が載っていた、その銀玉は、黒縮緬らしい厚い座
布団を敷いて鈍い光を放っていた。どうやら煙草の錫箔を丹念に溜めて、それを丸めて作....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
か。見渡せば、お部屋の中は大変な有様で、旦那様もかなり抵抗なさったと見え、枕や座
布団や火箸なぞがところかまわず投げ出されているのでございます。…… ――さアそ....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
それがパッと燃えあがった。 母と女中が少しばかりの荷物を持ってやって来た。僕は
布団にくるまって寝てしまった。 火は昼頃まで続いて、新発田のいわゆる町のほとん....
「獄中記」より 著者:大杉栄
しい大きな音をさせて、錠をはずして戸を開けた看守の命令通りに、僕は今渡されて来た
布団とお膳箱とをかかえて中へはいった。 「その箱は棚の上へあげろ。よし。それから....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
て、それを防ぐ。やがて看守はポンプを持って来て煮湯を監房の中に注ぎこむ、囚人等は
布団をかぶってそれを防ぐ。というような紛擾の後に、とうとう渡辺は典獄か看守長かの....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
上げたとおり、私は小娘に導かれて、あの華麗な日本間に通され、そして薄絹製の白の座
布団を与えられて、それへ坐ったのでございますが、不図自分の前面のところを見ると、....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
うが、一は何と言うのかたぶん名はないと思う。特待になると純粋の特権階級で、一枚の
布団が二枚になり、朝一回の運動が午前と午後との二回になり、さらに監房の中に机と筆....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
過ぎなかった。 純之進は無言ったまま、娘に構わずに寝て終った。娘はまめまめしく
布団の裾を叩きなどしたが、純之進から言葉が無いので、手持なく去った。間もなく又一....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
しものは掛っていても、陰が籠って湿っぽい、と云う中にも、掻巻の袖には枕が包まれ、
布団の綴糸に、待人の紙綟が結ばっていそうだし、取残した簾の目から鬢櫛が落ちて来そ....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
には死人が後向きに寝かせてありました。顔には白布が掛けられ、体にも小ざっぱりした
布団が着せてありました。 『引取人が来てくれるまでは心配です。何しろ、このお客さ....