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帆布
「帆布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
帆布の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
たんじゃないか?」
O君はこう云う推測を下した。
「だって死骸を水葬する時には
帆布か何かに包むだけだろう?」
「だからそれへこの札をつけてさ。――ほれ、ここに....
「或る女」より 著者:有島武郎
で打ち振るハンケチの時々ぎらぎらと光るごとに、葉子の頭の上に張り渡された雨よけの
帆布《ほぬの》の端《はし》から余滴《したたり》がぽつりぽつりと葉子の顔を打つたび....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
もとから折れて横倒しに倒れかかる帆柱と、急に命を失ったようにしわになってたたまる
帆布と、その陰から、飛び出しそうに目をむいて、大きく口をあけた君の兄上の顔とが映....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
音を立てて岩の上を渫っていた。 キャプテン深谷氏のヨット、白鮫号は、まだ檣柱も
帆布も取りつけたままで、船小屋の横の黒い岩の上に横たえてあった。最新式のマルコニ....
「恐竜島」より 著者:海野十三
くるようなものはないかしら」 玉太郎は、自分のまわりを見まわした。 もちろん
帆布《ほぎれ》もない。板片《いたぎれ》もない。 だが、なんとかしてかげをつくり....
「電気鳩」より 著者:海野十三
ねてあった荷物が、がさがさとうごきだしました。 「あっ兄ちゃん。あたしはここよ」
帆布がまるめておいてありましたが、その中から、とつぜん、なつかしい妹ミドリのこえ....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
あらゆる乞食の中で、彼はぼろぼろの着物を着ている点では大将だった。彼は古びた船の
帆布と古びた船布とで拵えた襤褸着物を着ていた。そしてこの異様な補綴細工は、真鍮の....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
るに妙を得た神人だ。殊に老博士は、人造島を創案した大科学者だ。彼は幽霊船中にある
帆布や、麻布を、僕等に集めさした。それを縫合すのは、生理学者の怪老人の仕事だった....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
を重ねた。私の食事にはナイフもフォークもなかった。緊束衣《きんそくい》が、一種の
帆布の袋が、私の両腕を捉《とら》えた。人々は私の生命について責めを帯びてるのだっ....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
大きな木の米びつにいれてしっかりふたをした。またその上を、防水の油をぬってある、
帆布でつつみ、しっかりと索でしばって海に投げこむと、うまいぐあいに岩にとどいて、....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
とともに魚つりにだしてやった。 それからかれは、他の物品を点検した。 大小の
帆布、縄類、鉄くさり、いかり一式、投網、つり糸、漁具一式、スナイドル銃八ちょう、....
「春」より 著者:岡本かの子
鬚の濃い五十男が、加奈子の佇って居る庭に面した廊下の窓の方へ現われた。だぶだぶの
帆布のようなカーキ色の服を着て居る。ぐっしょり落花を被った頭の白髪が春陽の光にき....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
われは跳びつく、 しがみつく、引っ張りすぎた三縄紐のように。 そして、ぼろぼろの
帆布から、落ちてくるぼろ切れは、 まるで、一年前の首縊りから落ちてくるように。 ....
「グーセフ」より 著者:神西清
通しに眠る。三日目の午ごろ、水夫が二人降りて来て、彼を病室から担ぎ出す。 彼は
帆布で縫いぐるみにされて、火床の鉄棒を二本|錘に入れられる。
帆布に縫い込まれた彼....
「歌う白骨」より 著者:妹尾アキ夫
うとした木立のそばには、船体をまだらに塗った海軍の練習船が碇泊していたが、木材と
帆布でできたその船は、一時代前の海上生活を思いださせた。その頃は三層のデッキのあ....