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帙
「帙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
帙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
うんだな」と言った。 いつも紅茶の滓《かす》が溜っているピクニック用の湯沸器。
帙《ちつ》と離ればなれに転《ころが》っている本の類。紙切れ。そしてそんなものを押....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
すが、君もあれには御関係ですかね。」 「そうですよ。去年の八月に、ようやく第一|
帙を出しましたよ。」 「地方の出版としては、あれは大事業ですね。秋田(篤胤の生地....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
これがわたしたちの仕事の一つです。」 と寿平次の前に置いた。『古史伝』の第二|
帙だ。江戸の方で、彫板、印刷、製本等の工程を終わって、新たにでき上がって来たもの....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
え、其中には二度と再び得られないものもあった。 之が皆焼けて了った。数十部の画
帙画套が恰も一本の棟木のように一つに固まって真黒に焼けて了った。世界の大美術書の....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
は奥の部屋へ行った。部屋の正面に床の間があった。脇床の違い棚に積まれてあるのは、
帙入の古書や巻軸であった。白熊の毛皮が敷いてあった。その上に端然と坐っているのは....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
合った一方の壁には、巨大な書棚が据えてある。書棚には本が積んである。巻軸もあれば
帙入もある。西班牙文字の本もある。いずれも貴重な珍書らしい。扉を背にして左の壁に....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
の床ノ間に、倍実筆の山水の軸が、大きくいっぱいに掛けられてあり、脇床の棚の上には
帙に入れられた、数巻の書が置かれてあり、万事正式の布置であって、驚くことはなかっ....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
部にビッタリ付くように作られてある、推摩居士の義足が二本並んでいた。前方には、竹
帙形に編んだ礼盤が二座、その左端に火焔太鼓が一基、その根元に笙が一つ転がっている....
「文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
そこの炭焼き男に一夜の宿を乞うたのでありますが、その男が炭俵を編むのに使っている
帙櫨は、黄金の塊だったのであります。そこでお姫さまが(これは黄金と言って貴重なも....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
重ねようとしては、ああお留守だったと、がっかりするのでした。 本棚の片隅には、
帙入の唐本の『山谷詩集』などもありました。真中は洋書で、医学の本が重らしく、一方....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
六、七冊ずつ発梓し、天保十二年七十五歳を以て終結す。その間、年を閲する二十八、巻
帙百六冊の多きに達す。その気根の大なるは東西古今に倫を絶しておる。もしただ最初の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
鈴を、」とお睦まじい。 すなわち傍なる一閑張の机、ここで書見をするとも見えず、
帙入の歌の集、蒔絵の巻莨入、銀の吸殻|落などを並べてある中の呼鈴をとんと強く、あ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
仏教に侮辱を加えたのである。そういう悪魔はぶん擲る」というて前にあるレクシン(経
帙の締木)を取り左の手に私の胸倉を捉まえて私の頭顱をめがけてぶん擲ろうとしたです....
「西航日録」より 著者:井上円了
に奇縁というべし。氏、余に送るに写影および著書をもってす。その中に『羅浮紀游』一
帙あり。その詩中に「焚、猿鶴共一席、月来百花醒、雲睡万壑寂」(香を焚いて静かな竹....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
気である点であって、その「詩」をつくり出すために、定家は『白氏文集』の第一・二|
帙を読めと、『詠歌大概』にも『毎月抄』にものべており、『拾遺愚草員外』を見ると、....