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「席を譲る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

席を譲るの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
明暗」より 著者:夏目漱石
意を惹《ひ》こうとする浮誇《ふこ》の活動さえ至る所に出現した。そうして次の色彩に席を譲るべくすぐ消滅した。眼中の小世界はただ動揺であった、乱雑であった、そうして....
如是我聞」より 著者:太宰治
に自身気がついているだろうかどうか。ひとにものを食わせるというのは、電車でひとに席を譲る以上に、苦痛なものである。何が神様だ。その神経は、まるで新興成金そっくり....
丸善と三越」より 著者:寺田寅彦
細な事でもかまわない。たとえば自分の祖母にやさしい言葉をかけるとか、乗合馬車で座席を譲るとかいうくらいな事でもいいが、とにかく何かしないではおかないようにするが....
俳句の精神」より 著者:寺田寅彦
めに象徴的な景物の入れ場がなくなってしまうので、そのほうを割愛して象徴的なものに席を譲るようになり、従って作者の人間は象徴の中に押し込まれ自然と有機的に結合した....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
らば、フランシスはトルストイより上座に着くであろう。そしてトルストイはよろこんで席を譲るであろうと思われる(かようなことはみだりに想像すべきことではないが)。私....
青春論」より 著者:坂口安吾
乗込んでくる。或いはお婆さんを連れた青年が這入ってくる。誰かしら子供やお婆さんに席を譲る。すると間もなく、その隣りの席があいた場合に、先刻、子供や婆さんに席を譲....
S夫人への手紙」より 著者:岸田国士
対象となるでしよう。握手や接吻が日本の風土にそのまま容れられるかどうか、婦人に座席を譲ることが果して日本男子の面目にかゝわるかどうかなども、そこでとくと主観を交....
いわゆる「反省」は我々を救うか」より 著者:岸田国士
いででもあるような小学修身的俗見に支配されているからである。 乗物の中でひとに席を譲るのを道徳的行為だと教えられると、楽に席を譲る気がしなくなると同様に、「反....
生活から学ぶ」より 著者:岸田国士
がつつ立つているのを見ると、どうもおかしいような、恥かしいような気がする。立つて席を譲るのが当り前で、そんなことは文明人なら、みんなやることである。若い男が道徳....
法然行伝」より 著者:中里介山
が、法皇の別勅によって法然上人が第一座に着かせられ、山門の代表者も甘んじてそれに席を譲ることになった。太政大臣は固よりその次席である。そこで法然は礼盤《らいばん....
ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
りません。あなたがたはそれを、やれ文化の影響だとか、古い生活はしぜん新しい生活に席を譲るべきだとか、仰しゃることでしょうね。なるほど、もしもこんなふうに、森が根....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
えになりました。」 「先生だろう。」と駒田は襖《ふすま》の方を見返りながら、少し席を譲る間もなく、梯子段《はしごだん》に跫音《あしおと》がして、パナマ帽を片手に....