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「帰りしな〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

帰りしなの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
主人を散々に苦笑させた。話はつい永くなって十時頃になってしまった。 小松技師は帰りしなに、少し改って 「実はお願いがあって参りましたのですが」 と言って、暫....
姪子」より 著者:伊藤左千夫
うて兼公は六丁の鎌をおれの前へ置いた、女房は、それではよくあんめい、吉兵エさんも帰りしなには、兼さんの一酷にも困る、あとで金を持たしてよこすから、おっかアおめい....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
ちょうど氏神の祭で例年通りお渡りの人足に雇われたのを機会《しお》に、手を引いた。帰りしな、林檎《りんご》はよくよくふきんで拭《ふ》いて艶《つや》を出すこと、水密....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と莞爾して仰せある、優しい顔が、眩いように後退して、いずれまた、と逃出すがごとく帰りしなに、お客は誰?……とそっと玄関の書生に当って見ると、坂田礼之進、噫、止ぬ....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
かな考えはよせ。はま公、今一本持ってこ」 おはまは笑いながら、徳利を持って出た帰りしなに、そっと省作の肩をつねった。 「まあよく考えてみろ、おとよさんは少しぐ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
パートの近所を見て歩いた。むす子が、起きてから珈琲を沸すのが面倒な朝や、夜更けて帰りしなに立ち寄るかも知れない小さい箱のようなレストランや、時には自炊もするであ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
へいい触れさした。つまり、ここが行ってはならない危険な場所になったということを、帰りしなに触れさしたわけだよ。しかし、俺とその男のあいだには、かたい約束ができて....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ロしていますから。そこへゆくと、あっしらのは実業で……」 と、これがルチアノの帰りしなの台辞だった。 二人が帰ると、ギャングという初対面の怪物よりも、なにを....
わが町」より 著者:織田作之助
た。種吉は丁度生国魂の祭で例年通りお渡御の人足に雇われたのを機会に、手を引いた。帰りしな、林檎はよくよくふきんで拭いて艶を出すこと、水蜜桃には手を触れぬこと、い....
小公女」より 著者:菊池寛
ラは、一人ではかけきれないほどある毛布を、ベッキイに分けてやりました。ベッキイは帰りしなに振り返って、貪るように室内を見廻しました。 「お嬢さま、これが皆朝にな....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
鶴見は気張って、痩っぽちの裸体を風呂屋の洗い場で彼に見せてやった。 銭湯からの帰りしなに、泡鳴は満足げにぶらぶらと歩いていたが、遽かに気がついたと見えて、煙草....
慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
彼の反感を挑発して、突然に飛びかかって磯貝の咽喉を絞めつけ、そこへ突き倒して逃げ帰りしなりという。 磯貝の言い争っていた男は即ち六兵衛老人なり。老人も磯貝のあ....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
人顔の朦朧とするまで、蟹の脳味噌の再び煮返る中を、いつの間にか、お久という人は、帰りしなに……「ちょっと」……で八郎を呼出して、連込んだものらしい。―― 「な、....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
拵えて、「先年はいろいろ厄介になってありがたい」と礼をいって還してやりましたが、帰りしなには礼拝して何やら罪を悔いたような様子を顕わして涙を流しながら帰って行き....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
村より婚せず。サンジョは産所の意にて、昔産婦はこゝに出て産し、穢中を過して本村に帰りしなりなど云へば、夙の所に云へる意に同じ。是も後には陰陽師・巫女など移り住み....