帰り着く[語句情報] » 帰り着く

「帰り着く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

帰り着くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
小わきにかかえながら、夕食もしたためずに、ジャクソン街にあるという日本人の旅店に帰り着くころには、町々に灯《ひ》がともって、寒い靄《もや》と煙との間を労働者たち....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
知っている限りの軽蔑や呪詛《のろい》のことばを並べ立てて、自分たちの家《うち》へ帰り着くまで、憎い、憎い、陶器師の疫病婆を罵りつづけていた。 秋の宵はまだ戌《....
新生」より 著者:島崎藤村
思い、倫敦を発つ時にはまだ外套《がいとう》を欲しいくらいの五月初旬の陽気でも国に帰り着く頃の旅仕度も考えて行かねば成らないことを思い、そんな心づかいをするだけで....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ると命がないぞ」と威かした。余は落ち着いた調子で「穴川さん、貴方は馬車で此の家へ帰り着くまで、有難いの、命の親だと私を拝まぬ許りで有ったのに、短銃を以てその謝意....
賤ヶ岳合戦」より 著者:菊池寛
んな状態で済む筈はなく、ついに賤ヶ|岳の実力的正面衝突となった。 勝家は越前に帰り着くと、直ちに養子伊賀守勝豊に山路将監、木下半右衛門等を添えて長浜城を受取ら....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
も裃着用に雨傘をさしかけて松雲の一行を迎えた。 当時の慣例として、新住職が村へ帰り着くところは寺の山門ではなくて、まず本陣の玄関だ。出家の身としてこんな歓迎を....
雪の夜の話」より 著者:太宰治
を眺めて、眼玉の底だけでなく、胸の底にまで、純白の美しい景色を宿した気持でお家へ帰り着くなり、 「お嫂さん、あたしの眼を見てよ、あたしの眼の底には、とっても美し....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
海の上で万里の風に吹かれながら、真蒼の空の光を美しいと見て立っている時、これから帰り着くべき故郷の吾が家でノ、最愛の妻が明るうないことを仕居って、其召使が誤って....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
らず甲板の上に残って、どっと押し寄せては沈んでゆく海を熱心に眺めていた。 家に帰り着くと、彼の友達らはアウレリウスの様子が変わっているのに驚いた。しかし彼はそ....
異妖編」より 著者:岡本綺堂
もらうわけにもいかないので、亭主にはあつく礼をいって、怖々ながらここを出た。家へ帰り着くまでに再び火の玉にも盆燈籠にも出逢わなかったが、かれの着物は冷汗でしぼる....
田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
たくないと思うた。それにはできるだけ、強い感動を家の人達に与えないようにして家へ帰り着くことが必要である。驚かさないようにするのが何よりだと考えた。彼が特に夜を....
決闘」より 著者:神西清
へ焼鏝でも当てられたようにひりひり痛んだ。弾丸がかすったのである。 やがて家へ帰り着くと、彼にとっては長い、不思議な、甘い、そしてまどろみのように朦朧とした一....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
なものかそれさえ知らなかったのを居士は一々教えながら作るのであった。何でも松山に帰り着くまでに表六句が出来ぬかであった。そうして二、三日経って居士はそれを訂正し....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
と無用じゃぞ。」と、小坂部はかれらに言い聞かせた。 もう一町ばかりで堀川の館へ帰り着くというところで、足早に来る若侍に出逢った。彼は本庄采女であった。 「おお....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
れた。新聞は二十日分ほどの嵩があったので、わたしは小脇に引っかかえて来た。宿舎へ帰り着くころには日も暮れ切って、床の下にはこおろぎが寒そうに鳴いている。うす暗い....