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「帰るさ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

帰るさの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夏秋表」より 著者:立原道造
ろ秋雨のようなものが降っていたのに、私のめぐった線は明るく白じらしく晴れていた。帰るさ、私は伊良湖岬に杉浦明平を訪ねた。すると、杉浦明平が僕にゆうすげの花を岩か....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
らば活きながら、羽毛を※った処よの。さて、それだけで帰りがけじゃい、の、殿、その帰るさに、これへ寄った。) (そこに居るのは誰だ。) と向うの縁側の処から、子....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
は筆にはつくせません、これはおとよさんも同じことでしょう。昨夜おとよさんに別れて帰るさの愉快は、まるで体が宙を舞って流れるような思いでした。今でもまだ体がふわふ....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
道楽の末、いよいよという時が来たら山谷にここの板前を吟味したまえ。 浅草詣での帰るさ、界隈の料理では腹の虫が承知せぬちょう食道楽の一人、さるは八百善にてと態々....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
、或日志丈が尋ねて参り、 志「今日は天気も宜しければ亀井戸の臥竜梅へ出掛け、その帰るさに僕の知己飯島平左衞門の別荘へ立寄りましょう、いえサ君は一体内気で入らっし....
地球要塞」より 著者:海野十三
た君のところへやってくるよ」 「えっ! 君は、帰るのか」 「どうして。用がすめば帰るさ。用があれば、又やってくるさ」 「おい、身勝手なことをいうと、許さんぞ。待....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
かぬると謗らるるを関わず、しきりに吹習うている中に、人の居らぬ他所へ持って出ての帰るさに取落して終うた、気が付いて探したが、かいくれ見えぬ、相済まぬことをした、....
」より 著者:国木田独歩
静かに庭に下れり。詩人が庭のたき火も今夜をかぎりなれば残り惜しく二人は語り、さて帰るさ、庭の主人に一語の礼なくてあるべからずと、打ち連れて詩人の室に入れば、浮世....
一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
可い。 B どうだ、おれん処へ来て一緒にやらないか。可いぜ。そして飽きたら以前に帰るさ。 A しかし厭だね。 B 何故。おれと一緒が厭なら一人でやっても可いじゃ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
出来いたしてござります。月田銀行の頭取、月田全作の夫人まち子がカケコミ教会よりの帰るさに、ノド笛をかみとられ、腹をさかれ肝をぬかれて殺害されておりました。すでに....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
場へ通い、一刀流の稽古をしていたが、いつもより今日は遅くなったので、道を急いでの帰るさであった。 背後から追っかけて来るらしい。京一郎は横へ逸れた。と、運悪く....
書記官」より 著者:川上眉山
は声を励ましていとどけわしく言う。善平は初めて心づきたるごとく、なに帰る? 私も帰るさ。一時も早く東京へ帰って、何彼の手はずを極めねばならぬ。光代、明日ははやく....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
います。 『冬柏』第七号の消息中に、月夜の村芝居、向島奥の八百松に催した百選会の帰るさに、月の隅田川を船にて帰られたくだりを拝読して、今より五十年余り昔の事を思....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
ったが食物の穿議がかなり厳ましかった。或る時一緒に散策して某々知人を番町に尋ねた帰るさに靖国神社近くで夕景となったから、何処かで夕飯を喰おうというと、この近辺に....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
あたる光に霜ぞ散りくる なびかじな海士のもしほ火たきそめて煙は空にくゆりわぶとも帰るさのものとや人のながむらむまつ夜ながらの有明の月 いまかりに十首ばかりその歌....