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帰農
「帰農〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
帰農の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「去年」より 著者:伊藤左千夫
うのは、どういう意味かよくわからないが、僕はただしばらくでも精神の安静が得たく、
帰農の念がときどき起こるのである。しかし
帰農したらば安静を得られようと思うのが、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
皆徳川方の味方をすると聞いて、激しくも戦わないで引き退いた。その後、青山の家では
帰農して、代々本陣、庄屋、問屋の三役を兼ねるようになったのも、当時の戦功によるも....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
という時だ。それらの家中衆の前には、およそ四つの道があったと言わるる。脱走の道、
帰農商の道、移住の道、それから王臣となるの道がそれだ。周囲の事情は今までどおりの....
「斜陽」より 著者:太宰治
もしもだね、コンチワァを軽く言えなかったら、あとは、道が三つしか無いんだ、一つは
帰農だ、一つは自殺、もう一つは女のヒモさ」 「その一つも出来やしねえ可哀想な野郎....
「激動の中を行く」より 著者:与謝野晶子
多数を他郷の人たらしめねばならない時代となっています。都会における戦後の失職者に
帰農を勧誘するような事は、この理由から、或程度以上は実行しがたい、無理な註文であ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の遺類だの、甘んじて徳川の政治に屈下することを潔しとせざる輩《やから》が土着し、
帰農した、だから、どこの藩にも属していない、天領ということになっているが、他の天....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
し、冬期には月に二三千人の凍餓死者を出したことも珍らしくない。彼等をすべて農村へ
帰農させるべきだ。米麦の耕作の合間には、棉を栽培してもよかろうし、豚を飼育しても....
「土地に還る」より 著者:豊島与志雄
分の火傷の跡のことなどこまごまと描き、田舎に身を落着ける意向を述べました。田舎に
帰農することは、彼にとっては、精神的なあらゆる浪費や玩弄を去って、土地そのものに....
「西瓜」より 著者:岡本綺堂
した。平生から用心のいい人で、多少の蓄財もあったのを幸いに、幾らかの田地を買って
帰農したが、後には茶を作るようにもなって、士族の商法がすこぶる成功したらしく、今....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
とにして、まず手はじめに屋敷の一隅と屋敷に続く畑へ野菜を作ることにした。つまり、
帰農のまねごとというのであろう。 しかしながら、野菜といっても愚かにならぬ。人....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
二、三日前、紀州熊野の山奥に住む旧友から、久し振りに手紙がきた。 ――拝啓、承り候えば、貴下も今回、故郷上州へ転住
帰農遊ばされ候由、時節柄よき才覚と存じ上申候。 小生もここ熊野なる故郷の山中へ....
「茶漬三略」より 著者:吉川英治
納言の息女であったとか、彼は藪中納言|保広の落胤であるとか、織田|被官の足軽から
帰農した百姓|弥右衛門の子というのが真であるとか、噂や蔭口もまちまちであったが、....