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帳場
「帳場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
帳場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
、煽風機も、何一つ目まぐるしく動いていないものはない。が、ただ、彼の視線だけは、
帳場机の後の女の顔へ、さっきからじっと注がれている。
女はまだ見た所、二十《は....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
自分は眼を伏せたまま、給仕の手から伝票を受けとると、黙ってカッフェの入口にある
帳場《ちょうば》の前へ勘定に行った。
帳場には自分も顔馴染《かおなじ》みの、髪を綺....
「葱」より 著者:芥川竜之介
う」と云った所を見ると、お君さんのこの親切が先方にも通じたのは勿論である。すると
帳場の前へ立っていたお松さんが、ちょうどそこへ持って行く筈の、アイスクリイムの皿....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
な影を落して行くのが見えた。
「神山《かみやま》さんはいないのかい?」
洋一は
帳場机に坐りながら、店員の一人の顔を見上げた。
「さっき、何だか奥の使いに行きま....
「路上」より 著者:芥川竜之介
の音楽会の切符の御金を貰いに行くんですからね。」
藤沢はこう云いながら、手近の
帳場机にある紙表紙の古本をとり上げたが、所々《ところどころ》好い加減に頁を繰ると....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
う。中元の進物の差図《さしず》をする。――その合間には、じれったそうな顔をして、
帳場格子の上にある時計の針ばかり気にしていました。
そう云う苦しい思いをして、....
「或る女」より 著者:有島武郎
立てているらしい足どりでずかずかと縁側を伝って来たが、ふと立ち止まると大きな声で
帳場《ちょうば》のほうにどなった。
「早く雨戸をしめないか……病人がいるんじゃな....
「或る女」より 著者:有島武郎
、珍しい事のように快かった。
やや小半時《こはんとき》もそうしたままでいると、
帳場でぼんぼん時計が九時を打った。三階にいるのだけれどもその音はほがらかにかわい....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
のだ。妻がぎょっとするはずみに背《せなか》の赤坊も眼を覚《さま》して泣き出した。
帳場にいた二人の男は飛び上らんばかりに驚いてこちらを見た。そこには彼れと妻とが泣....
「親子」より 著者:有島武郎
て監督の案内で農場内を見てまわった。 「私は実はこちらを拝見するのははじめてで、
帳場に任して何もさせていたもんでございますから、……もっとも報告は確実にさせてい....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
清しい目が、釜から吹出す湯気の裏へすっきりと、出たのを一目、驚いた顔をしたのは、
帳場の端に土間を跨いで、腰掛けながら、うっかり聞惚れていた亭主で、紺の筒袖にめく....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
く咲いたという花形の曙女史と聞えたは、浅草の牛肉屋の娘で――御新客、鍋で御酒――
帳場ばかりか、立込むと出番をする。緋鹿子の襷掛けで、二の腕まで露呈に白い、いささ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
清い声が、壁に附いて廊下で聞える。 女中はぼッとした顔色で、 「まあ!」 「お
帳場にお待ち申しておりましたんですけれども、おかみさんが二階へ行っていいから、と....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
のみ騒々しゅうもございませんが、二百余りの客でござりますで、宵の内はまるで戦争、
帳場の傍にも囲炉裡の際にも我勝で、なかなか足腰も伸びません位、野陣見るようでござ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
て、神田小柳町のとある旅店へ、入りたるを突止めたり。 泰助も続いて入込み、突然
帳場に坐りたる主人に向いて、「今の御客は。と問えば、訝かしげに泰助の顔を凝視しが....