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帳消し
「帳消し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
帳消しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
盗ませるおりに、もし首尾よくその香箱を持ち出してきましたならば、あのときの百両は
帳消しにしたうえで、このわちきをももう執念《しゅうね》くつけまわすようなことはせ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の地金屋へ持って行って、相当の相場で売って来てくれ。その働き賃には今までの借金を
帳消しにするばかりでなく、相場によっては又幾らかの手数料をやるというのです。わた....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
が見えて波の遠音が響いて来る。 ただ一飛びだ。それで煩悶も疑惑もきれいさっぱり
帳消しになるのだ。 「家の者たちはほんとうに気が違ってしまったとでも思うだろう。....
「食魔」より 著者:岡本かの子
心立命するものを捉えさえしたらいいのだろう。死の外にそれがあるか。必ず来て総てが
帳消しされる死、この退っ引ならないものへ落付きどころを置き、その上での生きてるう....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
ある。もっともこれは、あとで「動物性も大分あります。」とか何か云われたので、結局
帳消しになってしまったらしい。 大野さんが帰ったあとで湯にはいって、飯を食って....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
は立廻りません様子。しばらく影を見ませんから、それじゃあそれなりになったかしら。
帳消しにはなるまいと思いながら、一日ましに私もちっとは気がかりも薄らぎました。 ....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
た分だけ持ってゆくことにするよ。」と母は跳び上りながら言った。 「じゃ僕は勘定を
帳消しするためにこれを持ってゆこう。」と私は油布の小包を取り上げながら言った。 ....
「勉強記」より 著者:坂口安吾
てきたのに、こともあろうに凡そ安直な売春婦を相手にして、三十数年の童貞をあっさり
帳消しにした。 その結果、次のような理由によって、先生はまったく厭世的になった....
「青春論」より 著者:坂口安吾
と力みかえってみたくなるが、文学文学と念仏のように唸ったところで我が身の愚かさが
帳消しになるものでもない。生れて三十七年、のんべんだらりとどこにも区切りが見当ら....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
るのだぜ。慰藉料を請求するんだったら、院長のところへ行くがいゝさ。それで宿泊料を
帳消しにするのがよかろうよ。とっとゝ、帰りたまえ。変なユスリ方をすると、タメにな....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
くそれを取消した方が幾分か罪は軽いようにも思われるが、それでかれの失策がいっさい
帳消しになるという訳には行かない。どの道、かれはその罪をひき受けて相当の制裁をう....
「いわゆる「反省」は我々を救うか」より 著者:岸田国士
過去を過去として葬り去るように、「反省」という道徳的自慰によつて、何等かの過ちが
帳消しにされるような錯覚が若しあるとすれば、我々の明日は希望なき明日である。....
「放し鰻」より 著者:岡本綺堂
味方か判らない。思えば不思議なめぐりあわせであった。 しかし、それで女房の罪が
帳消しにならないのは判りきっていた。たといその結果がどうであろうとも、かれは預り....
「勘平の死」より 著者:岡本綺堂
七 (笑う。)それも事による。いくら金を使っても、手をまわしても、人殺しが滅多に
帳消しにゃあならねえから、まあ、安心していなさるがいい。 文字清 大丈夫でしょう....
「俗臭」より 著者:織田作之助
い声とはいえなかったが、このときの政江の耳には大変快かった。三亀雄の妻の早引けは
帳消しになった。 「謹聴々々」 伝三郎の妻だ。権右衛門の浪花節が始ったので――....