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「幅広く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幅広くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吉原新話」より 著者:泉鏡花
が一基、大門口から仲の町にずらりと並んだ中の、一番末の街燈がある。 時々光を、幅広く迸しらして、濶と明るくなると、燭台に引掛けた羽織の袂が、すっと映る。そのか....
食魔」より 著者:岡本かの子
は明治初期の早急な洋物輸入熱の名残りであろう。街の小道の上に煉瓦積みのトンネルが幅広く架け渡され、その上は二階家のようにして住んでいるらしい。瓦屋根の下の壁に切....
都会地図の膨脹」より 著者:佐左木俊郎
らなあ。」 三 市街地は黒い雲のように、青い耕地の上へ、日に日に幅広く這出した。 そしてこの黝んだ膨らみの中で、嵐のような叫び声がひっきりなく....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
、腰に毛皮を巻きつけたばかり、後は隆々たる筋肉を、惜し気もなく露出していたが、胸幅広く肩うずたかく、身長の高さは五尺八寸もあろうか、肌の色は桃色をなし、むしろ少....
薬草取」より 著者:泉鏡花
つ一つ谺に響くぞ、寂しい処へ、能くお前さん一人で来たね。」 女は乳の上へ右左、幅広く引掛けた桃色の紐に両手を挟んで、花籃を揺直し、 「貴方、その樵夫の衆にお尋....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
の梢も、近間なる柳の根も、いずれもこの水の淀んだ処で。畑一つ前途を仕切って、縦に幅広く水気が立って、小高い礎を朦朧と上に浮かしたのは、森の下闇で、靄が余所よりも....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
年紀たけたるが、鳥居の突あたりなる黒の冠木門のいと厳しきなかにぞ住いける。 肩幅広く、胸張りて、頬に肥肉つき、顔|丸く、色の黒き少年なりき。腕力もあり、年紀も....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
葉ずれの音、葦簀の外へまた一人、黒い衣の嫗が出て来た。 茶色の帯を前結び、肩の幅広く、身もやや肥えて、髪はまだ黒かったが、薄さは条を揃えたばかり。生際が抜け上....
河霧」より 著者:国木田独歩
は柳の陰に腰掛けて久しぶりにその影を昔の流れに映した。小川の流れはここに来て急に幅広くなって、深くなって静かになって暗くなっている。 柳の間をもれる日の光が金....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
往来の片側の、家並みの蔭がなくなっていて、往来はことごとく霜の降ったように、白く幅広く縦の帯をなして月光を浴びて延びていた。と、その往来を一個の人影があやつり人....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
を用ゆると共にまた軟き緑色《りょくしょく》を施すを常とせり。婦女の髪は頂において幅広く眼は一直線をなして直径の如くに中央を横切りたり。六年の制作において人物は益....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
の料理屋なんどの主人のようで、素気無い顔には青筋が顕れ、眼は小さく、鼻は赤く、肩幅広く、脊高く、手足が図抜けて大きい、その手で捉まえられようものなら呼吸も止まり....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
しく可哀らしく変化して目に映ること。 や。もういざってしまう。遠い氷山のように、幅広く堆く、不極まりな形をして、東の空に止まって、 移り行く日の大きい意味を目映....
」より 著者:シュミットボンウィルヘルム
山の生涯のために流した毒々しい汗で腐蝕せられて、褐色になっている。この顔は初めは幅広く肥えていたのである。しかし肉はいつの間にか皮の下で消え失せてしまって、その....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
ようにも見える。しかしベートーヴェンの音楽には、「内的実在のリズムを記録している幅広くゆるやかな振子の鼓動」がある。 ベートーヴェンにおいて芸術形式はこの内的....