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幔幕
「幔幕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幔幕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
》の頂上に蹴鞠《けまり》ほどの小さい黒雲が浮かび出した。と思う間もなしに、それが
幔幕《まんまく》のようにだんだん大きく拡がって、白い大空が鼠色に濁ってきた。まぶ....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
った。 その翌日は、昨日と等しく、城中の兵法座敷が美しく掃き浄められて、紅白の
幔幕《まんまく》が張り渡され、上座には忠直卿が昨日と同様に座を占めたが、始終下唇....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
午後なぞに波打ちぎわに出て見ると、やや緑色を帯びた青空のはるか遠くの地平線高く、
幔幕を真一文字に張ったような雪雲の堆積に日がさして、まんべんなくばら色に輝いてい....
「食魔」より 著者:岡本かの子
茶も一服よばれたのち、しばらくの休憩をとるため、座敷に張り廻らした紅白だんだらの
幔幕を向うへ弾ね潜って出る。そこは庭に沿った椽側であった。陽はさんさんと照り輝い....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
どもが控えていた。末座には大勢の家来どもが居列んでいた。船には竹に雀の紋をつけた
幔幕が張り廻されていた。海の波は畳のように平らかであった。この老人たちは艫をあや....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
の両方の大岳には、五、六月頃になると、山桜や躑躅が、一度に咲いて紅白|綯い交ぜの
幔幕を、山の峡間に張るそうである、それよりも美しいのは、九月の末から十月の半ごろ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
したな」 「二十隻あまりも出ましたかな」 「漁船と異って立派ですな」 「諏訪家の
幔幕が張り廻してある」 「乗っておられるのはお武家様ばかりだ」 「お武家様と漁師....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
、各町内で所有するところの立派なふとん太鼓や地車を引ずり廻るのである。町家は軒へ
幔幕を引廻し、家宝の屏風を立てて紅毛氈を店へ敷きつめ、夕方になると軒に神燈を捧げ....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
挺に槍十五筋、門の入口に造られた番所、そこに役人が詰めている。門の右手には紅白の
幔幕、突棒刺叉捩など、さも厳しく立て並べてある。門を離れた左手にあるは、青竹で作....
「おせん」より 著者:邦枝完二
鳥山へ、お花見に出かけたあの時、いつもの通り、あたしとお前とは夫婦でござんした。
幔幕を張りめぐらした、どこぞの御大家の中へ、迷い込んだあたし達は、それお前も覚え....
「赤坂城の謀略」より 著者:国枝史郎
になった。 四 天王寺の陣を引いた正成は、数里はなれた櫨子原に、
幔幕ばかりの陣を張り、悠々と機をうかがっていた。 或夜|正遠と定仏とをつれ、陣....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
か十町つい目先きのようだ、が険しくて隙取れ、一時間ばかりかかった。昨日で辟易した
幔幕、またぞろ行く手を遮る、幕の内連が御幕の内にいるのは当然だ、と負け惜みをいい....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
には分かる。
(歓喜して。)
ああ。世界の最高の女王。
あの青く張った
天の
幔幕の中で、
あなたの秘密を拝ませて下さい。
男の胸を
厳かに、優しく動して、
....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ら花折昆布などが目についた。私は売店で樺太地図を一枚買って、そこで外へ出た。裏の
幔幕の向うでは運動会のおしまい頃で何か騒いでいたがそれも聴き棄てにした。ただ出口....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
武夫が、大紋の袖を束ねて稽首しているさまがある。一段高く黒岳の尖った兜の鉢が雲の
幔幕の前に銀鋲の光を輝かしている。祖父岳から右に展べた一線が、幾多の峰頭を鈍い金....