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幕が下りる
「幕が下りる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幕が下りるの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
を眠《ねむ》る。人も犬も草も木も判然《はき》と映らぬ古き世界には、いつとなく黒い
幕が下りる。小さき胸に躍りつつ、転《まわ》りつつ、抑えられつつ走る世界は、闇を照....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
けばよかった。たとい来世は、地獄の黒炎に魂を焼きこがされようとも……。
彼は、
幕が下りると、わざと浪路をわきにして、横山にいいかけた。
「どうでござります。横....
「青年」より 著者:森鴎外
大きい愛の力で励まして、エルラはその幻の洞窟たる階下の室に連れて行こうとすると、
幕が下りる。 又見物の席が明るくなる。ざわざわと、風が林をゆするように、人の話....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 この幕もまた、見物の残らずをして息をもつかせない緊張を与えたものですから、
幕が下りると一同はホッと息をついて、それからまた反動的に、海老蔵は偉い、お辻はか....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ルゴを待っていた。二台の自動車を揃えたのは、一台パンクした時の用意だった。最後の
幕が下りると同時に、イダルゴは楽屋口からその一台へ飛び移った。ヴェルサイユ宮殿の....
「ひな勇はん」より 著者:宮本百合子
も一つ手を働かせるにもその時々になげる視線にかなしく、震えながらそそがれて居た。
幕が下りるまで私はお妙ちゃんのあのあわれげな視線をうけて居る事が出来るかしらこう....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
。 その間に、お民は提灯に火を入れた。 二人が戸口を出る時、みんなは、芝居の
幕が下りるときのように、静かであった。ただ、お作婆さんだけが、両手を腰に組んで、....
「退歩主義者」より 著者:坂口安吾
傾けての合成品、ヘッピリ腰で踊りまくり、一同が引っこんでからも、一人残って熱演。
幕が下りると、幕をかきわけて、天地陰陽とりまぜての歌謡曲。みんなゲラ/\笑ってい....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
迷ってる形です。―― 楽の晩だ。板礫の、あともう一場、賑かな舞踏がある。――帷
幕が下りると、……燕尾服の口上じゃない――薄汚い、黒の皺だらけの、わざと坊さんの....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
治家としてのハムレット。 彼は涙を拭って颯爽《さっそう》と舞台に立つ。 さて
幕が下りると、彼は楽屋に行ってさめざめと泣いた。 *46 おお、何と....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
響く。そのあいだで団十郎が例の名調子で朗々と勧進帳をよみ上げる声がきこえる。この
幕が下りると、わたしは自分の肌着がぐっしょりと汗にぬれているのに気がついた。 ....