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干
「干〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
干の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
貰い、上総《かずさ》の或海岸にある両親の家へ帰った上、月々文太郎の養育料として若
干の金を送って貰う、――彼はこういう条件に少しも異存を唱えなかった。のみならず妾....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
んだから。」
藤井《ふじい》と云う弁護士は、老酒《ラオチュ》の盃《さかずき》を
干《ほ》してから、大仰《おおぎょう》に一同の顔を見まわした。円卓《テエブル》のま....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
や》の白馬《しろうま》が一夜《いちや》の内に黒くなりますやら、御池の水が見る間に
干上《ひあが》って、鯉《こい》や鮒《ふな》が泥の中で喘《あえ》ぎますやら、いろい....
「影」より 著者:芥川竜之介
に》、それから地味な青磁色《せいじいろ》の半襟。――
陳は麦酒《ビール》を飲み
干すと、徐《おもむろ》に大きな体を起して、帳場机の前へ歩み寄った。
「陳さん。い....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
も万八《まんぱち》の下を大川筋へ出て見ますと、大きく墨をなすったような両国橋の欄
干《らんかん》が、仲秋のかすかな夕明りを揺《ゆらめ》かしている川波の空に、一反《....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
や槐《えんじゅ》に囲まれながら、酒旗《しゅき》を出した家が一軒見える。朱塗りの欄
干《らんかん》が画《えが》いたように、折れ曲っている容子《ようす》なぞでは、中々....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
うまる》は長沙《ちょうさ》の桟橋へ横着けになった。
僕はその何分か前に甲板の欄
干《らんかん》へ凭《よ》りかかったまま、だんだん左舷《さげん》へ迫って来る湖南の....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
とえば碧玉《ジャスパア》の色のようにあまりに重く緑を凝らしている。といって潮の満
干《みちひ》を全く感じない上流の川の水は、言わばエメラルドの色のように、あまりに....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
情が、早くもその眼に映ったのであろう。残っているウイスキイを勢いよく、ぐいと飲み
干すと、急に鬚だらけの顔を近づけて、本間さんの耳もとへ酒臭い口を寄せながら、ほと....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
の口髭《くちひげ》のように年齢と共に生ずるものではない。我我は良心を得る為にも若
干の訓練を要するのである。
*
一国民の九割強は一生良心を持たぬもので....
「運」より 著者:芥川竜之介
くないと思いましたがな。」
「惜しい事に、昔さね。」
青侍は、色のさめた藍の水
干《すいかん》の袖口を、ちょいとひっぱりながら、こんな事を云う。翁は、笑声を鼻か....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
は恋の思い出にばッたりぶつかった。舞踏靴、破れたハンカチーフ、靴下どめ、髪の毛、
干からびた花、――そんなものが急に思い出された。すると私の生涯の懐かしい幾つかの....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
るばかり、面目なきながら深沢に話せば、これも仰天し、「実は伯父ご様の御文中にも若
干の学資を持たせ遣したりとあれば、それを此方へ御預かり申さんとは存ぜしが、金銭の....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
はじめた。歌の先生としての資格を利用して、彼はその邸に足しげく訪れた。親の面倒な
干渉はとかく恋人たちの道のつまずきの石になるものだが、彼はそれで心配することは何....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
頃村の端に小さな水車小屋を持っていましたが、毎日伊作の店に寄っては酒を飲んだり、
干魚を食たりして、少しも勘定を払わないので、それが土台になって二人はいつでも喧嘩....