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干し
「干し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
干しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
る。殊にやっと柵《さく》の上へ制服の胸をのしかけたまま、目の前へ歩み寄った白牛に
干し草をやったことを覚えている。牛は彼の顔を見上げながら、静かに
干し草へ鼻を出し....
「春」より 著者:芥川竜之介
は干《ほ》し草《くさ》に似ているような気がし出した。彼女の経験に誤りがなければ、
干し草の匂のする男性はたいてい浅ましい動物的の本能に富んでいるらしかった。広子は....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
様を御睨《おにら》みなさいました。が、若殿様は益《ますます》御機嫌よく、御盃を御
干しになって、
「いや、それよりも始めから、捨てられる心算《つもり》で居《お》る....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
き根とかき根には竿《さお》を渡しておしめやらよごれた青い毛布やらが、薄い日の光に
干してある。そのかき根について、ここらには珍しいコスモスが紅や白の花をつけたのに....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
ぞよ。現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸《しすん》ばかりずつに切って
干したのを、干魚《ほしうお》だと云うて、太刀帯《たてわき》の陣へ売りに往《い》ん....
「路上」より 著者:芥川竜之介
う云いながら、殺気立った眉をひそめて、七八杯目のウイスキイをまずそうにぐいと飲み
干した。
三十三
俊助《しゅんすけ》はしばらく口を噤《つぐ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
始めた。彼は始は唖《おし》のように、ただ勧《すす》められる盃を一息にぐいぐい飲み
干していた。が、酔《よい》がまわって来ると、追いおい大きな声を挙げて、笑ったり話....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
、あの婆が舌を入れて、一口頂戴したって次第でもなかろう。それならかまわないから、
干してしまい給え。」――こう云う具合に泰さんは、いろいろ沈んだ相手の気を引き立て....
「夢」より 著者:芥川竜之介
った。――こう云う夢から醒めたわたしは顔を洗って来た後、濃《こ》い茶を二三杯飲み
干したりした。けれどもわたしの心もちは一層憂鬱になるばかりだった。わたしはわたし....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
今度見えるのは家の後ろの畠《はたけ》。畠には四十に近い女が一人せっせと穂麦を刈り
干している。………
20
長方形の窓を覗《のぞ》いている「さん・せば....
「或る女」より 著者:有島武郎
家の住まう下座敷は変に油ぎってよごれていた。白痴の子が赤ん坊同様なので、東の縁に
干してある襁褓《むつき》から立つ塩臭いにおいや、畳の上に踏みにじられたままこびり....
「或る女」より 著者:有島武郎
い》のある部屋《へや》に、三人の娘たちに取り巻かれて、美しい妻にかしずかれて杯を
干している倉地ばかりが想像に浮かんだ。そこに脱ぎ捨ててある倉地のふだん着はますま....
「星座」より 著者:有島武郎
った大きなコップだった。渡瀬はめちゃくちゃに悲しくなってきた。それを一呑みに飲み
干したい欲求はいっぱいだったが、酔いがさめそうだから飲んではならないのだ。
「や....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
金があって飯が食えて、べらっとしたものでもひっかけられた上の話だ。真っ裸にして日
干し上げて見ろ、女が一等先きに目を着けるのは、気前でもなけりゃ、男振りでも無え、....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
じている。先生は或時博物学教室へ行き、そこにあったコップの昇汞水を水と思って飲み
干してしまった。それを知った博物学の先生は驚いて医者を迎えにやった。医者は勿論や....