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干柿
「干柿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
干柿の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球図」より 著者:太宰治
ながらやって来た。旅のあいだは、来る日も来る日も、焼栗四つ、蜜柑《みかん》二つ、
干柿五つ、丸柿二つ、パン一つを役人から与えられて、わびしげに食べていた。 新井....
「闇の書」より 著者:梶井基次郎
もの」と言って母は媚《なまめ》かしく笑った。 「ところがあれやみんな渋柿だ。みな
干柿にするんですよ」と私も笑った。 柿の傍には青々とした柚《ゆず》の木がもう黄....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
入っていると温かい。アルコールは便利だ。コッヘルにて餅を炊く。とてもうまい。また
干柿もいい。この附近積雪量五尺くらい。 十日 雪 七・〇〇発 〇・〇〇弘法小屋 ....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
そう云って、厚い下唇を時々癖のように嘗めながら眼を細めた。 「んで、財布これさ」
干柿のようなべったりした薄い蟇口を眼の高さに振ってみせた。 「あの白首、身体こっ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
造って、向う賄で月六円とるそうだ。小説家なぞになるものでない、と云って聞かして、
干柿を三つくれて帰えす。
(明治四十二年 一月十七日)
炬燵
....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
、頼まれた和郎じゃ、と言うと、船を寄せた老人の腰は、親仁の両提よりもふらふらして
干柿のように干からびた小さな爺。 やがて綱に掴まって、縋ると疾い事! 雀が鳴....
「塩花」より 著者:豊島与志雄
。それをかこんで、いろいろなものが並んでいた。ビスケット、ホットケーキ、紅茶皿、
干柿、鰺の乾物、塩ゆでの車鰕、こまかく裂いた※、南京豆、ビール瓶、コップ、茄子と....
「お茶の湯満腹談」より 著者:夢野久作
下してしまった。 それから頼うだお方の手土産を披瀝されたが、そのうちにどこかの
干柿があった。それを見た主人翁は、 「御迷惑か知らぬが、この柿を見ちゃ一服頂戴せ....
「澪標」より 著者:外村繁
ようである。すっかり私に馴染んでいる。庭には閑閑と秋の日が当っている。軒端一面に
干柿が干してある。 「東京おんちゃん、しょんべん」 私は一寸、あわてる。しかし....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
ものは少しも名が聞えておりません。食物などにはかえって有名なものがあって、牡蠣や
干柿や「でびら」などは誰も味ったことがあるでありましょう。女の用いる髢も多くはこ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ぽと落ちていた。 「泥棒っ、泥棒っ」 道ばたにふいに、呶鳴っている子があった。
干柿の吊るしてある軒下だの、暗い馬小屋の横からだの、わらわらと人が駈けて出た。 ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
やしく又太郎の前にすすめた。 「何かお慰みにと、初春の蓬など探させました。甘味は
干柿の粉を掻き溜めたもの。甘葛とはまた風味もかくべつ違いますので」 この引田妙....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
米、道明寺|糒。 河内名物のドロ芋。 その茎を干したずいき。 また梅漬け、
干柿、栗、およそ保存にたえるものは、なんでも糧倉へみたしていたが、しかし城兵一日....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
いうのは始めからの目的でなかった。家でも正月だけは集まってこれを食べたと見えて、
干柿・榧・搗栗というような、今はお菓子といわない昔の菓子が、三方折敷の上に鏡餅と....