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干物
「干物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
干物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
を旅僧が打出すと、にこにこ笑いながら、縮緬雑魚《ちりめんざこ》と、鰈《かれい》の
干物《ひもの》と、とろろ昆布《こんぶ》の味噌汁《みそしる》とで膳《ぜん》を出した....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
からかんがえると、それは眼にみえない妖怪の仕業であるらしくも思われたが、印判屋の
干物をさらって行った事件から想像すると、それは人間の仕業らしくも思われた。勿論、....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
マルドゥクは渾沌として乱れたティアマートの五体の変形を行った。すなわち、それを『
干物にしようとするときに魚を割くように』二つに切り割いた。『そうして、その一半を....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
のように降って来る。 往来の人々はあわてて逃げる。家々では慌てて雨戸をしめる、
干物を片付ける。周章狼狽、いやもう乱痴気騒ぎであるが、その夕立も一時間とはつづか....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
帰るので、大きな五色せんべいをあつらえて土産にする。そのついでにサイダーを飲んで
干物をやいて火鉢をかこんで食った。 十二月三十日。小林は昨夜大眼鏡をわったので....
「火星兵団」より 著者:海野十三
、ぐにゃぐにゃしているはずじゃないか。僕は、はっきり、みたんだけれど、ゴムだこは
干物みたいだったぜ。そうして、僕の目には、その
干物みたいなものに、たしかに首がつ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ころじゃあねえ。この錠前だと言うのを一見に及ぶと、片隅に立掛けた奴だが、大蝦蟆の
干物とも、河馬の木乃伊とも譬えようのねえ、皺びて突張って、兀斑の、大古物の大かい....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
赤蜻蛉が飛んでいる。軒前に、不精たらしい釣荵がまだ掛って、露も玉も干乾びて、蛙の
干物のようなのが、化けて歌でも詠みはしないか、赤い短冊がついていて、しばしば雨風....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
だからね、(家の猫を)なんて言われるが嫌さに、打つわけにはもとよりゆかず、二三度
干物でも遣ったものなら、可いことにして、まつわって、からむも可いけれど、芳さん、....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
お源は水を汲む手を一寸と休めて振り向いた。 「井戸辺に出ていたのを、女中が屋後に
干物に往ったぽっちりの間に盗られたのだとサ。矢張木戸が少しばかし開いていたのだと....
「独房」より 著者:小林多喜二
/\日が減って行った。そうだ、丁度あと三日という日の午後、夕立がやってきた。 「
干物!
干物!」 となりの家の中では、バタ/\と周章てゝるらしい。 しめた!....
「蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
かねて心得ていますから、蚊帳を吊る。お線香の支度をする。それから裏の空き地へ出て
干物を片づける。そのうちに大粒の雨が降って来る。いなびかりがする。あわてて雨戸を....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
した。 「何が馬鹿らしいんだ」 「だってそうじゃげえせんか。あんな鰯《いわし》の
干物のような奴が、どう足掻《あが》いたって、洒落本はおろか、初午の茶番狂言ひとつ....
「卑怯な毒殺」より 著者:小酒井不木
の下半分には、口だけが孔となって、厚い繃帯がかけられてあった。 ベッドの脇には
干物のように痩せた男が立っていた。彼は兀鷹のように眼をぎょろつかせて、病人の不思....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、顔ひとつ洗わず、何もかも着物で拭くんですからね。それに米も麦も食べません。魚の
干物ばかりで生きています。奴らは夏になると河のそばへ出て来て、冬は山地に籠るので....