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干魚
「干魚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
干魚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸《しすん》ばかりずつに切って干したのを、
干魚《ほしうお》だと云うて、太刀帯《たてわき》の陣へ売りに往《い》んだわ。疫病《....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た一丈もありそうな標示杭《ひょうじぐい》が斜めになって立っていた。そこまで来ると
干魚《ひざかな》をやく香《におい》がかすかに彼れの鼻をうったと思った。彼れははじ....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
の出はずれにある一軒家、樵夫《きこり》の為に村醪《じざけ》も暖めれば、百姓の為に
干魚《ひうお》も炙《あぶ》るという、山間《やまあい》の温泉宿です。女亭主《かみさ....
「死までを語る」より 著者:直木三十五
間と云っても、上り口と、その次と、六畳に二畳の家に住んでいた。食べるものは、芋、
干魚、豆腐、寒い山の上なので、冬になると芋が凍っている。豆腐は固くて、五六町上の....
「風琴と魚の町」より 著者:林芙美子
せた。 男の子は笑っていた。 白壁の並んだ肥料倉庫の広場には針のように光った
干魚が山のように盛《も》り上げてあった。 その広場を囲んで、露店のうどん屋が鳥....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
働く。人目を避けて、蹲って、虱を捻るか、瘡を掻くか、弁当を使うとも、掃溜を探した
干魚の骨を舐るに過ぎまい。乞食のように薄汚い。 紫玉は敗竄した芸人と、荒涼たる....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
して、先は二三十人ばかり、おれは一人で叩き合い、打ち合いせしが、ついにかなわず、
干魚場《ほしかば》の石の上に追い上げられて、長竿でしたたか叩かれて散らし髪になっ....
「マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
にして中央にいた。すぐそのとなりに福沢さんがいた。御馳走《ごちそう》の充分なのに
干魚《ひもの》がなければ食べられないといって次の間で焼かせたりした。わたしは(あ....
「樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
し雪の日の参会の時手づから雑煮《ぞうに》にて給はりし事、母様の土産にしたまへと、
干魚の瓶漬送られしこと、我参る度々に嬉しげにもてなして帰らんといへば今しばし/\....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
翌日、わたくしが与助を連れて隣り村の榎の門をくぐった時に、五兵衛は炉の前に坐って
干魚か何かをあぶっているようでしたが、わたくしが土間に立って拘引することを言い渡....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
解しており、その「風流」とその「情緒」とを、完全に表現し得たのであった。 秋風や
干魚《ひうお》かけたる浜庇《はまびさし》 海岸の貧しい漁村。家々の軒には
干魚が....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
を売って、少しでも金をつかむと、電信柱に馬をつないで、停車場前の荒物屋に入って、
干魚を裂きながら、コップの「もッきり」を飲んだ。 大概の百姓は帰りに寄って「も....
「志士と経済」より 著者:服部之総
取組|内用掛《ごないようががり》に任じ、大阪に販売所を設け長州から蝋、半紙、塩、
干魚、米を山城丹波大和諸州へ、京阪および大和から呉服類、小間物、菜種《なたね》な....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
んで大評判だよ、調法だってよ、仕入が皆江戸|物を買って来るだから好いでや、此間の
干魚なざア大層うまかったが、チト甘過るだ、己ア方では口のツン曲るようでなければ喰....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
頃村の端に小さな水車小屋を持っていましたが、毎日伊作の店に寄っては酒を飲んだり、
干魚を食たりして、少しも勘定を払わないので、それが土台になって二人はいつでも喧嘩....