平ったい[語句情報] » 平ったい

「平ったい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平ったいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
赤い貨車」より 著者:宮本百合子
懸命火のしをかける。 ジジーン! 呼鈴がクワルチーラじゅうに響いた。火のしを平ったい金びしゃくにのせ、ナースチャは入口へ行った。 「どなた?」 いきなり開....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
をやる、つづいて二回の小徒渉をやる。深いところは、稀に膝以上まで水が来るが、頭の平ったい、太鼓の胴のような大岩や、頭だけ、微に水面に露している石が、入り乱れて立....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
、馬車に乗った、馬車は埃で煙ッぽくなってる一本道を走る、この辺の農家によくある、平ったい屋根と、白い壁が、青々とした杜の中へ吸い込まれもせずに、熬りつくような日....
少年探偵長」より 著者:海野十三
には、なにかかたいものがある。 絹のきれをあけると、中から出て来たのは半月形の平ったい金属板だった。かなり重い。そして夜目にもぴかぴかと黄いろく光っている。そ....
ふしぎ国探検」より 著者:海野十三
は何百万光年の空間をすっとんだ。銀河の帯がどんどん縮まって、お皿のような形をした平ったいものになった。 「ほら、分ったでしょう。銀河は星が円板《えんばん》のよう....
栄蔵の死」より 著者:宮本百合子
からして生きたくないのに生きて居なければならないのも何故だろう。 世の中が、平ったいものであったら、その突ぱなまで一束飛びに飛んで行って、そこから一思いに、....
反抗」より 著者:豊島与志雄
していた。それらを、天井から下ってる薄暗い電灯の光りが照らしていた。 お清は、平ったい竹籠から火鉢に炭をついで、細い息で吹き熾《おこ》した。周平は変な気がして....
人の国」より 著者:豊島与志雄
してみた。 「なあに心配するほどのことはないよ。」と老医学士は口元に微笑を浮べ、平ったい指先で煙草の灰をはたきながら云った。「余り家にばかり蟄居しているから、機....
叔父」より 著者:豊島与志雄
手で薄い赤髭をひねりながら、静子達がいる室の方へ行ってみた。所が、静子の鼻の低い平ったい顔を見ると、我に返ったように手紙を後ろに隠した。 「寝転んでばかりいない....
不肖の兄」より 著者:豊島与志雄
。ばあやさんが小皿に漉味噌を持って来た。おっかさんはそれで、昔の二銭銅貨くらいの平ったい団子を拵え、それから艾《もぐさ》をまるめて小指の先くらいのものを幾つも拵....
家なき子」より 著者:楠山正雄
あった。わたしは昼間火でかわかしておいた毛皮服にくるまってまくらの代わりにした。平ったい石に頭をのせて、たき火の前に横になった。 「おまえはねむるがいい」親方が....
レンブラントの国」より 著者:野上豊一郎
ホランドに上陸した時の第一印象は、いかにも物静かな、どことなく田舎くさい、いやに平ったい国だという感じだった。前の晩おそく、雨の中をハリッジを出帆して、百五十マ....
触覚の世界」より 著者:高村光太郎
、其れが音の方向を持たないからである。どんなに精巧な機械から出て来ても此複製音は平ったい。四方から来ない。音楽堂の実物の音楽は、そこへゆくと、たとい拙くとも生き....
ニュー・ヨーク 『青春の自画像』より」より 著者:前田河広一郎
て、こちらへむきなおった。 『How do you do? ミサワです。』 扁平ったい声であった。冬もまぢかなのに、テニス用の運動靴をはいている。 木元は木....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
をのせた低い岡で、そこで漆《うるし》の葉が薄紅く染っていた。 気が向くと、底の平ったい靴をはいて、ひとりで気ままにあちらこちらとあるきまわるので、キャラコさん....