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平ら
「平ら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
平らの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
執《と》る人の有無《うむ》さえもわからない。自分はいつもこの静かな船の帆と、青く
平らに流れる潮のにおいとに対して、なんということもなく、ホフマンスタアルのエアレ....
「或る女」より 著者:有島武郎
で戦われていたのだけれども、それが男たちに自然に刺激を与えないではおかなかった。
平らな水に偶然落ちて来た微風のひき起こす小さな波紋ほどの変化でも、船の中では一《....
「或る女」より 著者:有島武郎
得た口をきいた。
「古藤さんが時々来てくださるの?」
と聞いてみると、貞世は不
平らしく、
「いゝえ、ちっとも」
「ではお手紙は?」
「来てよ、ねえ愛ねえさま。....
「片信」より 著者:有島武郎
とする場合、新生活を否定しないものであるかぎり、そこに自己の心情の矛盾に対して、
平らかなりえない心持ちの動くべきではないか」と片山氏はあるところで言っている。兄....
「星座」より 著者:有島武郎
け》の上に、やや黄味を帯びた青空が寒々と冴《さ》えて、ガラス板を張りつめたように
平らに広がっていた。家の中にいても火種の足りない火鉢にしがみついて、しきりに盗風....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の高端折、跣足でちょびちょび横|歩行きで、日課のごとき運動をしながら、つくづく不
平らしく、海に向って、高慢な舌打して、 「ああ、退屈だ。」 と呟くと、頭上の崖....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
と輪形に陣取って、清正公には極内だけれども、これを蛇の目の陣と称え、すきを取って
平らげること、焼山越の蠎蛇の比にあらず、朝鮮|蔚山の敵軍へ、大砲を打込むばかり、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
は、煙の中に藍を湛えて、或は十畳、二十畳、五畳、三畳、真砂の床に絶えては連なる、
平らな岩の、天地の奇しき手に、鉄槌のあとの見ゆるあり、削りかけの鑪の目の立ったる....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
たげな、弱り果てて、 「へい、その馬を持って帰れとおっしゃるんですか。」 と不
平らしい顔をした。 「そうよ。」 「一体その何でございますが、私はどうも一向馬の....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
しずかなひと夜をおすごしになるはずでした。 帆は風でふくれて、船は、鏡のように
平らな海の上を、かるく、なめらかにすべって行きました。くらくなると、さまざまな色....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
来上らなかったのでございます。」 そう言って母親は子家鴨の頸を撫で、羽を滑かに
平らにしてやりました。そして、 「何しろこりゃ男だもの、きりょうなんか大した事じ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
倚せてかぞうれば十二時なり。これより行人稀となりて両岸の火も消え漕ぎ去る船の波も
平らに月の光り水にも空にも満ちて川風に音ある時となりて清涼の気味滴る計りなり。人....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
形だった。ひどくいいかげんにまとめあげたようなからだつきなのだ。頭は小さく、上が
平らで、大きな耳と、大きな緑色のガラスのような眼と、鷸の嘴のように長い鼻とがくっ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
ものあり。静に蹈みて下り行くに足はやがて地に附きつ、暗さはいよいよ増りぬれど、土
平らにて歩むに易し。西へ西へと志して爪探りに進み行けば、蝙蝠顔に飛び違い、清水の....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
たあとの蟻の塔はずんと凹んで、その凹んだ草鞋のあとは、幾山雨のため数箇月の後には
平らめにならされ、軈てまた新たなる蟻の塔が此の無人の境に建設されてゆく。 峰頂....