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平伏
「平伏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
平伏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
然として、廟の中へ這いこんだ。両手を鼠の糞と埃《ほこり》との多い床の上について、
平伏するような形をしながら、首だけ上げて、下から道士の顔を眺めているのである。
....
「大脳手術」より 著者:海野十三
君は文句をいう権利がない旨を諭した。私は先生の咽喉を締めあげた腕を解き、その場に
平伏して非礼を詫びるしかなかった。そしてその日、私は私の両の腕を先生に買取って貰....
「未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
ゆえに、お答えすることをば憚《はばか》ります』蘭丸は、仔細《しさい》を物語って、
平伏《へいふく》した。――どうだ、聞いているかね」 旅順戦《りょじゅんせん....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
てすらりと立った、その黒髪の花|唯一輪、紅なりけり月の光に。 高坂がその足許に
平伏したのは言うまでもなかった。 その時肩を落して、美女が手を取ると、取られて....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
ら、招かんばかりに虎松に声をかけた。――虎松はじっと一礼して、二、三尺近よっては
平伏をした。 「毎年大儀じゃのう。さて、今年の報告にはなにか確実な手懸りの話でも....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
暇もない。 僧は前に彳んだのを差覗くように一目見て、 「わッ、」 とばかりに
平伏した。実にこそその顔は、爛々たる銀の眼一|双び、眦に紫の隈暗く、頬骨のこけた....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
し。それなら一生懸命にきっと精を出します。」 と惜気もなく、前髪を畳につくまで
平伏した。三指づきの折かがみが、こんな中でも、打上る。 本を開いて、道中の絵を....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
聞いたかい、その通りや。」と、ぐっと見下ろす。 一座の末に、うら若い新夫婦は、
平伏していたのである。 これより先、余り御無体、お待ちや、などと、慌しい婦まじ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
。 お雪は吻と息を吐いて、肌を納めようとした手を動かすに遑なく、きゃッといって
平伏した。声に応じて少年はかッぱと刎ね起きて押被さり、身をもってお雪を庇う。娘の....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
きたり。「蘭の鉢を庭へ出せよ」と物柔らかに命じながら主公出で来られぬ。座を下りて
平伏すれば、「イヤ御遠慮あるな伯父ごとは莫逆の友なり、足下の事は書中にて承知致し....
「多神教」より 著者:泉鏡花
ぶまい。(とろりと酔える目に、あなたに、階なるお沢の姿を見る。慌しくまうつむけに
平伏す)ははッ、大権現様、御免なされ下さりませ、御免なされ下さりませ。霊験な御姿....
「茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
もうこの客たちに遊興させようなぞという気は微塵も無くなりました。後は「へえー」と
平伏して直ぐに座を立ち、信徒が帰依の高僧を供養する心構えで酒飯を饗応すべく支度に....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
って、うしろに神棚を祀った仕事場に、しかけた仕事の鉄鎚を持ったまま、鏨を圧えて、
平伏をなさると、――畳が汚いでしょう。けばが破れて、じとじとでしょう、弱ったわね....
「活人形」より 著者:泉鏡花
か。むむ、何しろ一番|糺明て見ようと、掌を高く打鳴らせば、ややありて得三の面前に
平伏したるは、当家に飼殺しの飯炊にて、お録といえる老婆なり。 得三は声鋭く、「....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
が向うを向いて鞭を振り上げている。その足もとには若い女がまるで叩き潰されたように
平伏していた。それは先刻見た一座の花形で、しまうまに乗っていた女に違いない。 ....