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平凡
「平凡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
平凡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文学好きの家庭から」より 著者:芥川竜之介
私の家は代々お奥坊主《おくぼうず》だったのですが、父も母もはなはだ特徴のない
平凡な人間です。父には一中節《いっちゅうぶし》、囲碁、盆栽、俳句などの道楽があり....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
第一|人相《にんそう》が、――人相じゃない。犬相《けんそう》だが、――犬相が甚だ
平凡だよ。」
もう酔《よい》のまわった牧野は、初めの不快も忘れたように、刺身《....
「Mensura Zoili」より 著者:芥川竜之介
か云うもので、やっとそう云う推定を下《くだ》しては見たものの、事によると、もっと
平凡な場所かも知れないと云う懸念《けねん》がある。いや、やっぱり船のサルーンかな....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
せていた。慎太郎は弟を劬《いたわ》りたかった。が、その心もちは口を出ると、いつか
平凡な言葉に変っていた。
「よっぽど待ったかい?」
「十分も待ったかしら?」
「....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
髪を抜いてな、鬘《かずら》にしようと思うたのじゃ。」
下人は、老婆の答が存外、
平凡なのに失望した。そうして失望すると同時に、また前の憎悪が、冷やかな侮蔑《ぶべ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
こみ合った乗客を押し分けて、辰子の前の吊皮へ手をかけながら、
「先夜は――」と、
平凡に挨拶《あいさつ》した。
「私《わたし》こそ――」
それぎり二人は口を噤《....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
。今まで気がつかずにいたが、これは気違いの眼ではない。そうかと云って、世間一般の
平凡な眼とも違う。聡明な、それでいてやさしみのある、始終何かに微笑を送っているよ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ら》の八衢《やちまた》のように、今では寸分《すんぶん》の刺戟《しげき》さえない、
平凡な往来に過ぎないのであった。
夕暮が近くなった時、川幅が狭くなると共に、両....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
美しい。しかしその美しさは、私だけに見える美しさではないか? 私以外の人間には、
平凡な画図《がと》に過ぎないのではないか?――なぜかそういう疑いが、始終私を悩ま....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
のながめが眼にはいるようになる。目の前には高い山がそびえている。高い山といっても
平凡な、高い山ではない。山膚《やまはだ》は白っちゃけた灰色である。その灰色に縦横....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
まりあ》の前に跪《ひざまず》いた日本を、その彼が訪れなかったと云う筈はない。更に
平凡な云い方をすれば、当時の日本人にも、すでに彼に関する伝説が、「ぎやまん」や羅....
「或る女」より 著者:有島武郎
》しい弱点を露骨《ろこつ》に現わし始めた。後ろから見た木部は葉子には取り所のない
平凡な気の弱い精力の足りない男に過ぎなかった。筆一本握る事もせずに朝から晩まで葉....
「或る女」より 著者:有島武郎
ここにこうして倉地と住み続ける喜ばしい期待はひと向きに葉子の心を奪ってしまった。
平凡な人妻となり、子を生み、葉子の姿を魔物か何かのように冷笑《あざわら》おうとす....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
そしんで居られます。これなどは、むしろ私どもの良い亀鑑かと存じます。 あまりに
平凡な人達の噂ばかりつづきましたから、その埋合せという訳ではございませぬが、今度....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
燈の光に照らされた夕刊の紙面を見渡しても、やはり私の憂鬱を慰むべく、世間は余りに
平凡な出来事ばかりで持ち切っていた。講和問題、新婦新郎、涜職事件、死亡広告――私....