平常[語句情報] » 平常

「平常〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平常の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
のニッケルの蓋《ふた》の上に映《うつ》った彼自身の顔へ目を注《そそ》いだ。いつも平常心《へいじょうしん》を失ったなと思うと、厭《いや》でも鏡中の彼自身を見るのは....
路上」より 著者:芥川竜之介
面白いと云うのも本当なんだ。」 大井は四杯目のウイスキイを命じた頃から、次第に平常の傲岸《ごうがん》な態度がなくなって、酔を帯びた眼の中にも、涙ぐんでいるよう....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
と云う次第ではありません。それならどうして、この文明の日光に照らされた東京にも、平常は夢の中にのみ跳梁《ちょうりょう》する精霊たちの秘密な力が、時と場合とでアウ....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
みて、一足先に行けと現《うつつ》に言い放ちて、再び熟睡せり。渠らは豪放なる太夫の平常《へいぜい》を識《し》りければ、その言うままに捨て置きて立ち去りけるなり。 ....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
ば食器を入れた棚など手近にある。長火鉢に鉄瓶が掛かってある。台所の隣り間で家人の平常飲み食いする所なのだ。是《これ》は又余りに失敬なと腹の中に熱いうねりが立つも....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ていなければならないのだ。どうすればこの苦しさこのさびしさから救われるのだろう」平常のこの考えがKと向かい合っても頭から離れないので、君は思わず「親父にも兄貴に....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
沢、穂高、あるいは田代潮、宮川の池へ行く時は、握飯をつくって、とびだしてしまう。平常は十時ごろになると、誰かが宿屋へ馬鈴薯か豆腐、ねぎを買い出しに行ってくる。石....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
の方を振返りながら、 (ちょいと、御免なさいよ。) 支度を、と断るまでもなく、平常着のままで出は出たが、――その時、横向きになって、壁に向うと、手を離した。裙....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
滅しそうに思われたそうでございます。 すると、その頃、諸磯の、或る漁師の妻で、平常から私の事を大へんに尊信してくれている一人の婦人がありました。『小櫻姫にお願....
おびとき」より 著者:犬田卯
の冠って、剣付鉄砲かかえて警備についていっとこだっけが、一枚は上等兵の肩章つけた平常の服のだっけよ。眼がばかにキツかっけが、まさか戦地だものな……でも、おっかね....
錦紗」より 著者:犬田卯
貴のすねかじっているんだ」と慰めるどころか反対にますますひどくやられたのである。平常なら「兄らも何だか、二十七にもなってまアだ嬶も持てねえで。……」としっぺ返し....
」より 著者:犬田卯
の襟をふかく立て、定刻に役場の門をくぐったのであったが、少なくとも何の議案もない平常と違って、今日は最も重大な村の経済問題の討議される日であった。他の議員たちも....
」より 著者:犬田卯
方などを細々と説明して、やがて医者は帰って行った。 その頃、ヨシ子はもう殆んど平常の息づかいになって、すやすやと眠っていた。 ところで、浩平はまだ野良から帰....
活人形」より 著者:泉鏡花
る代物じゃねえ。しかし隙があったら殺害ッちまえ。」 まことや泰助が一期の失策、平常のごとく化粧して頬の三日月は塗抹居たれど、極暑の時節なりければ、絵具汗のため....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
火器の使用に依って新しい戦術が生まれて来た文芸復興の時代は小邦連立の状態であり、平常から軍隊を養う事は困難で有事の場合兵隊を傭って来る有様であったが、国家の力が....