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「平庭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平庭の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
心には何を思うともなく、きょろきょろとあたりを※《みまわ》せり。幽寂に造られたる平庭を前に、縁の雨戸は長く続きて、家内は全く寝鎮《ねしず》まりたる気勢《けはい》....
坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
気の時か、何か事の起った時にやりさえすればいい訳だ。 庭は十坪《とつぼ》ほどの平庭で、これという植木もない。ただ一本の蜜柑《みかん》があって、塀《へい》のそと....
草枕」より 著者:夏目漱石
した」 「いい月じゃな」と障子をあける。飛び石が二つ、松一本のほかには何もない、平庭《ひらにわ》の向うは、すぐ懸崖《けんがい》と見えて、眼の下に朧夜《おぼろよ》....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
山《あすかやま》の大きいのに、桜を抜いて松を植替えたようなものだから、心持の好い平庭《ひらにわ》を歩るくと同じである。松も三四十年の若い木ばかり芝の上に並んでい....
明暗」より 著者:夏目漱石
》った蟠《わだか》まりが蜿蜒《うねく》っていようと思うはずがなかった。造りたての平庭《ひらにわ》を見渡しながら、晴々《せいせい》した顔つきで、叔母と二言三言、自....
」より 著者:徳田秋声
が相変らず突拍子であった。 庭木や、泉水の金魚などに綺麗に霜除けのされた、広い平庭の芝生に、暖かい日が当って、隠居の居間は、何不足もなく暮している人の住居のよ....
牡丹」より 著者:宮本百合子
に規則立てて暮させなけりゃいけないっていってでしたよ」 始めの目論見と違って、平庭のまま芝生が出来たり、南を向いてフレームが出来たりした。静かに絶間なく幸雄を....
映画芸術」より 著者:寺田寅彦
ジュ的視像となりうるのである。 生け花に限らず、造園でも同様である。砂を敷いた平庭に数個の石を並べるだけでもその空間的モンタージュのリズムによって、そこに石の....
夏目漱石先生の追憶」より 著者:寺田寅彦
の二|室が共通の縁側を越えて南側の庭に面していた。庭はほとんど何も植わっていない平庭で、前面の建仁寺垣の向こう側には畑地があった。垣にからんだ朝顔のつるが冬にな....
雪ちゃん」より 著者:寺田寅彦
ここな二階から見ると真砂町の何とか館の廊下を膳をはこぶ下女が見える。下は狭い平庭で柿が一本。猫がよくこれを伝うて隣の屋根に上るのである。庭へは時々近辺の子供....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
は、門の竹編戸を押し破ってしまった。そして、裏山を抱いている約四百坪ほどの山芝の平庭を見ると、師の小野治郎右衛門忠明は、日頃、持ち馴れている行平の刀を抜いて、青....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
いるその角兵衛。 きょうも。 四月のはじめ。 もう、桜は八重も、散りしいて平庭の泉石の陰を綴って、つつじが真っ紅に咲いていた。 「在宅か――」 と、おと....
大谷刑部」より 著者:吉川英治
、一人は、邪慳に揺りうごかしてみた。 巨きな樹立に囲まれていて、ふところの広い平庭である。樹々の蔭には、もう夕闇が漂って、蚊ばしらの唸りが何処ともなく耳につく....
黒田如水」より 著者:吉川英治
どのの質子はかわりないか。この冬は風邪もひかずに過したか」 老臣は縁先から城の平庭を見まわし、ずっと奥の山芝の黄いろく見えるあたりを指さした。 「あれ、ご覧あ....