平沙[語句情報] » 平沙

「平沙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平沙の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
れおるの至りなり。電車鉄道の便利なく、人力車すら多く通ぜざる紀州鄙地の山岳重畳、平沙渺茫たる処にありては、到底遠路の神社に詣づること成らず。故に古来最寄りの地点....
竹青」より 著者:太宰治
と、輪郭の滲んだ満月が中空に浮び、洞庭湖はただ白く茫として空と水の境が無く、岸の平沙は昼のように明るく柳の枝は湖水の靄を含んで重く垂れ、遠くに見える桃畑の万朶の....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
、鏡のように凪いだ夕暮前の湖面を見渡しながら、モーターボートの纜を解いた。対岸の平沙の上にM山が突兀として富士型に聳え、見詰めても、もう眼が痛くならない光の落ち....
李陵」より 著者:中島敦
て四方を眺《なが》めるのだが、東方から南へかけてはただ漠々《ばくばく》たる一面の平沙《へいさ》、西から北へかけては樹木に乏しい丘陵性の山々が連なっているばかり、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ました。 二人ともこうして砲台下を南へ下りて、海岸づたいに走り出しました。 「平沙《ひらさ》の浦は平常《ふだん》でも浪の荒いところですから、あんな暴風雨《あら....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
共にしていたあの男の行方《ゆくえ》が、今以て不明である――女軽業のお角という女を平沙《ひらさ》の浦《うら》から救い出して、ここの生活に一点の色彩を加え出したと同....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
さえ見えません。 ところどころに、竜安石を置いたような岩が点出しているだけで、平沙渺漠《へいさびょうばく》人煙を絶するような中を、清澄の茂太郎は、西に向ってま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
を突かれたのは、いつぞや、あの大嵐の前後、難破船から投げ出されたお角という女を、平沙《ひらさ》の浦から拾い上げた時、前後して、自分の手許《てもと》から消え失せて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
り、走りつづけてみるの勇気を得たようです。 しかし、行けども、行けども、十里の平沙《へいさ》で、一方は海の波の音ばかり――暫くして、ようやく一つの人影を認めま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
》以来、奇巌怪石というはおろか、ほとんど岩らしいものは見えないではありませんか、平沙渺漠《へいさびょうばく》として人煙を絶す、といった趣ですね」 「左様、小湊《....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
日が紅に照りはえている。) 船入(船は運河に入る) 舟行遅似川、埃及山何処、平沙望漠然。 (船の進むことゆっくりと歩みにも似て、海峡のせまいことはまるで川の....
私本太平記」より 著者:吉川英治
たりだけが、そこから執権御座所の方へ先に立って行った。 廊、また廊を曲がって“平沙ノ庭”とよぶ坪の中橋を渡ると、執権御所の錠口だった。 ――その中橋ノ廊を、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
、何べんとなく、ただくり返し下げていた。 追い風だった。舟は難波ノ津(大阪)の平沙や芦やまばら屋根を横に見つつ、まだ午まえも早目に、長柄の河口に着いていた。 ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
の夜の月の入る方へ、 前々、干る事もなかりし稲村ヶ崎 俄に二十余町も干あがりて、平沙渺々たり。 横矢、射んと、待ち構へぬる数千の兵船も、 落ち行く潮に誘はれて、....