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平穏
「平穏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
平穏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
覚えた。
しかし同時に倉地の事をちょっとでも思うと葉子の血は一時にわき立った。
平穏な、その代わり死んだも同然な一生がなんだ。純粋な、その代わり冷えもせず熱しも....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
てフランスにはいった。 が、フランスは、マルセイユでもリヨンでもパリでも、実に
平穏なものだった。今にも戦争が始まりそうだとか、こんどこそはとかいうような気はい....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
れを承諾した。 こうして幾日か過ぎた。春木、牛丸の二少年の身辺には、依然として
平穏な日がつづいた。いずれ落着いたら、便りをよこすといっていた戸倉老人からもどう....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
テレビジョンも受けたり、こっちから送ったりしていた。だが、この退屈《たいくつ》で
平穏《へいおん》な暗黒《あんこく》の空の旅は、地球の方ではあまり歓迎しなかった。....
「火星探険」より 著者:海野十三
ートン技師に説明した。 こうして二時間ばかりを、本艇は何事もなく至極《しごく》
平穏《へいおん》に送ったのであった。その間に、火星の表面は、すこしばかり西へ位相....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
当に見た者でなければ、その正しい判定は出来ないのだ。 それはともかく、今は至極
平穏なる航空を続けている。地球の重力は既に及ばなくなった代りに、月世界からの引力....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
それは本国政府より、特に御安心を願うようにということであった。わが英国は、印度の
平穏と中国の植民地化さえなしとげれば、それでいいのであって、日本国の小さい島々や....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の火は再びしずかに明かるくなった。爐の火も再び燃えはじめた。この室内は再びもとの
平穏の姿に立ちかえった。 二つのドアはなおしまったままで、Fの部屋へ通ずるドア....
「明日」より 著者:井上紅梅
な胸元でなでおろしたが何の響もない。彼女はこらえ切れず泣き出した。 寶兒は息の
平穏から無に変じた。單四嫂子の声は泣声から叫びに変じた。この時近処の人が大勢集っ....
「不周山」より 著者:井上紅梅
るのが見えた。彼女は覚えず非常に喜び、直ちにその山を彼等の背中に載せ、「もう少し
平穏なところに載せていっておやり!」と言いつけた。大きい亀どもは、肯いた様子をし....
「取舵」より 著者:泉鏡花
これで波の上を漕ぐ気だ。皆呆れたね。険難千方な話さ。けれども潟の事だから川よりは
平穏だから、万一の事もあるまい、と好事な連中は乗ッていたが、遁げた者も四五人は有....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ンズとその一党の荒くれ騎士たちに妙な工合に苦しめられるようになった。彼らは今まで
平穏だった先生の領域を荒らし、唱歌の学校は煙突をふさいでいぶり出してしまうし、校....
「西航日録」より 著者:井上円了
事なし。ただ海上は気候意外に寒冷にして、往々海霧中にとざされたるも、風波いたって
平穏にして、さらに大西洋の航海らしき感を有せざりき。 二十日夜より二十八日まで....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
みをもって、絶海の潮風に血によごれた衣をさらしたのである。) 二十一日、快晴。
平穏連日のごとし。今日より船中に浴泳場を設け、毎朝随意に浴泳せしむ。日光は炎々た....
「釣」より 著者:アルテンベルクペーター
げる。 魚は死ぬる。 ぴんと跳ね上がって、ばたりと落ちて死ぬる。 単純な、
平穏な死である。踊ることをも忘れて、ついと行ってしまうのである。 「おやまあ」と....