平穏無事[語句情報] »
平穏無事
「平穏無事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
平穏無事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高島異誌」より 著者:国枝史郎
、ご気嫌は?」僧はニヤリと笑い乍ら「どうやらお変りも無いようじゃの?」 「爾来、
平穏無事でござる」 「それは何より結構じゃ。……どうじゃな、拙宅へ参られては?」....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
うようになった。 だがその後しばらくの間は、これという変ったこともなく、まずは
平穏無事であった。しかし小一郎は油断せず、外出をする時には、永生の蝶を懐中に入れ....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
怖がっていたが、しかし振り返ってみると彼のいたことをむしろ好いていたのだ。それは
平穏無事な田舎の生活には素敵な刺激だった。そして、若い人たちの中には、彼のことを....
「新妻の手記」より 著者:豊島与志雄
そう言って、家計簿をはじめすべてのものを、私の手に渡した。 思えば、表面は全く
平穏無事で、何の風波もなかった。然し、母の心の中には、さまざまな暴風雨が荒れたこ....
「女難」より 著者:国木田独歩
います。その時からなおさら私はお俊のそぶりを妙に感じて来ました。 けれどもまず
平穏無事に日が経ちますうち、ちょうど八月の中ごろの馬鹿に熱い日の晩でございます、....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
いにも程があってよ。」 新子は、憤りで身体が、熱くなっていた。今まで比較的に、
平穏無事であったために、軌み合うことなしに過ぎた二人の性格の歯車が、今やカツカツ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
わたしは切に祈るものである。 私はもうこの日記をやめにしよう。われわれの帰路は
平穏無事であり、大氷原もやがては単に過去の思い出となるであろう。少し経てば、私は....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
供の松太郎も美しく生い立ち、前途の憂などは更に無かった。 しかし此儘彼の生活が
平穏無事に過ぎ行くとしたら物語に綴る必要は無い。果然意外の災難が彼の一家に降って....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
魅惑的な姿に接して、わたしも元気になった。過去はわたしの記憶から消え去り、現在は
平穏無事になって、未来は希望の輝かしい光線と歓びの期待とで、黄金の色に輝いた。 ....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
く外れてしまった。Kの町から乗った人もあり、Fの町で降りた人もあったが、いずれも
平穏無事で、なんの人騒がせをも仕出来さずに終ったので、わたしはひそかに失望しなが....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
べになれば、十年、二十年の命をちぢめるかも知れぬ。もし、わしが、三十年、五十年、
平穏無事に暮せるなら、お前にも、秘法を譲ろうと思うたが、時が無《の》うなった。学....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
正義の魂がとり戻されねばならぬ時なのだ!……まあ、幸い、ここ、相模の国だけはまだ
平穏無事だとは云うものの……それでも、決して安心はしてはおられんのだ。足柄の箱根....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
めていて、五万人の市民のなかに誰ひとり声を大にして抗議する者もない。つまり一切は
平穏無事であり、ただの「無言の統計」が抗議しているだけだ。 ではチェーホフは、....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
《かならず》恨みをいいにやって来る。その時思うさま嬉しがらしてやれば効果はむしろ
平穏無事の時より以上になるだろう。松崎は刈り込んだ半白の口髭《くちひげ》を撫《な....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
暮してきたのだった。だから、もしプラットという厄介な人物が近くに現れなかったら、
平穏無事な余生が送れたはずで、この男の出現のため、形勢が一変して、すべてがぶっこ....