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「平調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

平調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《みちひ》のできる葉子の感情は今まで浸っていた痛烈な動乱から一皮《ひとかわ》一皮平調に還《かえ》って、果てはその底に、こう嵩《こう》じてはいとわしいと自分ですら....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
技巧的音楽のほとんど全部を支配する律旋法として主要のものである。そうして、仮りに平調《ひょうじょう》を以て宮音《きゅうおん》とすれば、都節音階は次のような構造を....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
の三人の刑事(氏名略)を大正六年三月二十日検事廷と予審廷に付き添えての上、支倉喜平調書と云うものを小塚検事と古我予審判事とに作成させると云う事ではないか。 喜....
」より 著者:徳田秋声
い込んで来たのは、ちょうど写真などを返して、それに絶望した笹村の頭脳が、まだ全く平調に復りきらないころであった。 「今日は不思議な日だね。」いい加減に電話を切っ....
俗天使」より 著者:太宰治
字は、意地悪そうできらいです。 ニュウスをお知らせしましょうね。 一、白蘭の和平調停を、英仏|婉曲に拒否す。 そもそもベルギイ皇帝レオポオル三世は、そのあと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
見ようとも思わないものを、人に見せるわけにはゆきません」 と、お銀様の言葉は存外平調でしたから、お雪ちゃんもホッとしました。 髪を結い終ると、お銀様が、 「で....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
らして私の洋襟を濡らした。曲馬団の少女のようなモナコの風土服を着た花売女がわざと平調な英語でその一束をすすめていた。これは私にすこし考えるところがあって買うこと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
調べ」から「鉢返し」――「鉢返し」から「盤渉《ばんしき》」 世界もちょうど――平調《ひょうじょう》から盤渉にめぐるの時――心ありや、心なしや、この音色。 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
わきめもふらずに上って来たが、ここで歩みをゆるやかにしたものですから、呼吸もやや平調になったのでしょう。ブレスが正しくなったために、歌をうたいたくなったのだか、....
貞操問答」より 著者:菊池寛
、不意に時節到来、今日お互に緊張し切迫した気持で、散歩しているとき、雷雨に逢い、平調を失った――あるいは平調を失う口実を得た彼は、思わず新子の顔を腕の中に抱いて....
吊籠と月光と」より 著者:牧野信一
ら》わしたのは、その凡《およ》そ十年近き以前の一夜だけで、今日まで僕たちの間では平調を脱《はず》れた音声すら一言だって交された験《ため》しもないのである。七郎丸....
魔都」より 著者:久生十蘭
にかかるところがある。元来、壱越《いちえつ》調|呂旋《ろせん》であるべきこの曲が平調で唄われるさえ訝しいのに、宮声に凄切の気韻があったのはどうしたわけか。……ハ....
だいこん」より 著者:久生十蘭
議。久原さんのモスクワ行きの計画。H宮は老体の遠山さんを蒋介石のところへやって和平調整をさせようとなすった。遠山さんはただひとこと、最後のご奉公をいたしましょう....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
歩あるくとくるりと振向いた。その時、僧の顔は引緊って、国太郎が昨日、日本堤で見た平調に返っている。 僧は言った。 ――さて、おなご衆さん、わしはゆうべ持っと....
それから」より 著者:夏目漱石
に這入《はい》った。けれども、三千代が又訪ねて来ると云う目前の予期が、既に気分の平調を冒しているので、思索も読書も殆んど手に着かなかった。代助は仕舞に本棚の中か....