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年忘れ
「年忘れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
年忘れの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
様な心持は極めて少なかった。僕と民子との関係も、この位でお終いになったならば、十
年忘れられないというほどにはならなかっただろうに。 親というものはどこの親も同....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
畳に手を突いた。「お聞き及びでございましょうが、この十九日の晩に具足町の和泉屋で
年忘れの素人芝居がございました」 「そう、そう。飛んだ間違いがあったそうですね」....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
して主人の膝許にかえった頃に、年長者の山崎は坐り直し、 「や、おかげさまにてよい
年忘れ、思わず長座を致しました。」と分別顔してお礼を言い、それでは、と古綿を頸に....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
の先まで見えすいておることを、今更の後悔でもあるまいと、江戸ッ児はそんなことより
年忘れ、まず何はともあれの、一杯機嫌で、御厄払いましょう、厄払いになにがしかを包....
「猫」より 著者:豊島与志雄
と、そんなことには頓着なく、旧家に住み続けたがる。だから、三日飼われてその恩を三
年忘れない犬と反対に、猫は三年飼われてその恩を三日にして忘れる。云いかえれば、三....
「四十八人目」より 著者:森田草平
高源吾のこと、京都の富商脇屋新兵衛と称して入りこむ)から、吉良邸では来月の六日に
年忘れの茶会があるという内報もあった。すれば、五日の夜は必定上野介在宿に極まった....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
あの日除にもなるといって、青桐代りにうえさせたきささげだよ。土用時分になると、毎
年忘れずに、向いの家からその実を貰いに来たものだ。老人がいて、寝たり起きたりして....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
大笑いになったりした。運座はいい加減にして間もなくお酒がはじまり、歌えよ踊れよの
年忘れ、到底稽古どころではなかった。 次の日は誰もこなかった。「梅暦」ももうお....
「円太郎馬車」より 著者:正岡容
悪いなあ」 「なんでもいいんだよ。それより圓太郎、私アお前に昨日越中島の養老院の
年忘れに落語《はなし》をやってきておくれとお頼みしたンだよ。だのにお前、とんでも....
「随筆 寄席風俗」より 著者:正岡容
かなかにコクがあった。日本に、東京に、伝統されている「芸」の喜び。久しぶりで私は
年忘れをした満足をしみじみと味わわされた。 十二月二十八日。 ボンヤリ日の暮....