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幻想的
「幻想的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幻想的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「映画時代」より 著者:寺田寅彦
ゆるものの陰影に生きた脈動を与えるので、このグロテスクな影人形の舞踊にはいっそう
幻想的な雰囲気《ふんいき》が付きまとっていて、幼いわれわれのファンタジーを一種不....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
想し得ただろう? しかもたまたまそんなことになってこの貧弱な物語が、思いもかけぬ
幻想的な結末を告げることになったのである。突然、カリンキン橋のほとりや、そのずっ....
「檸檬」より 著者:梶井基次郎
し、また慌しく築きあげた。新しく引き抜いてつけ加えたり、取り去ったりした。奇怪な
幻想的な城が、そのたびに赤くなったり青くなったりした。 やっとそれはでき上がっ....
「錯覚自我説」より 著者:辻潤
1 現代においてはすべて形而上的な一切の思想は季節外れである。芸術(特に文学)においても
幻想的な、主観的な、浪漫的なものはすでに過去の遺物ででもあるかの如く蔑視されてい....
「アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
かったほどの、強烈な堪えがたい畏怖《いふ》の念が湧き起ったのである。 友のこの
幻想的な概念の一つは、それほど厳密に抽象性を持っていないので、かすかにではあるが....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
当ったのだ。あれを失神の道程に当ててみたいのだよ」
「もっとも法水君、元来僕は非
幻想的な動物なんだがね」と乙骨医師は眩惑を払い退けるような表情をして、皮肉に云い....
「銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
はいつもの人間臭いほこりっぽい現実性を失って、なんとなくおとぎ話を思わせるような
幻想的な雰囲気に包まれる。町の雑音までが常とは全くちがった音色を帯びて来る。ショ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
いしているばかりであります。幾多の円柱、歩廊、階段の交錯、その荘厳なる豪奢、その
幻想的なる壮麗、すべてお伽噺にでもありそうな造りでした。 そのうち黒ん坊の召仕....
「わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
ないで、などゝ得意になつてゐる。 負けいくさの戦争は全く小気味がいゝほど現実に
幻想的だ。工夫に富めるラ・マンチャの紳士ドン・キホーテと云ふけれども、私の方では....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
女学校を卒業したばかり、十九であつたが、清人は四十であつた。 これはまつたく「
幻想的」な結婚であつたと富子は自ら述べてゐる。 富子は生家の職業によつて幼少か....
「日映の思い出」より 著者:坂口安吾
ことを考え、伊勢物語などにその素材に手頃な短篇などを空想していた。こういう観念の
幻想的な組み立てには、退屈という大敵があって、美の魅力の持続の時間に限定があり、....
「わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
ったことはなかったのである。 私は十八貫という体重を発見して以来、その一日は、
幻想的な思索にしずんだ。これは、まったく、異常である。しかし、どこかに理由がなけ....
「金の十字架の呪い」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
人であるか彼は一事遍狂者であるかという事を少なくとも私にたしかめさせました。この
幻想的なはなれた方法で、彼はいつも私に、私の死と埋葬に対する準備は満足に進行して....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
たが、やがて、意味ありげな言葉を犬射に云った。 「そうです。まさに、あの殺人鬼の
幻想的な遊戯なんですよ。しかし、これに海人藻芥(犬射の雅号)という署名はないにし....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
いは、たぶん、この解き明かし難い女は、そうした衣装を着たこの朝、ちょっぴり乙な、
幻想的なものを感じた、というだけのことだったかもしれない。 エセックスの不在が....