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幻灯
「幻灯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幻灯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「追憶」より 著者:芥川竜之介
は木橋だった両国橋の欄干が折れ、大勢の人々の落ちた音だった。僕はのちにこの椿事を
幻灯か何かに映したのを見たこともあるように覚えている。 二三 ダアク一....
「旅愁」より 著者:横光利一
まで来た日の港港の風景を思い浮べた。
「もう一度僕はピナンへ行きたいね。あそこは
幻灯を見てるような気がするが、君はあのあたりから千鶴子さんの後ばかり追っかけ廻し....
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
ことです。あの入口の上をごらんなさい。一・五七と、まるでレジスターのような数字が
幻灯仕掛で出ているでしょうが」 「えっ、まあそんなことが……」光枝がふりかえると....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
の闇の中で、横になって輾転反側していると、エンフィールド氏から聞いた話が、一連の
幻灯の絵巻物となって彼の心の前を通っていった。夜の都会を一面に照らしている街灯が....
「小説中の女」より 著者:豊島与志雄
変に澄みきって冴えていた。友の家庭の光景や友と交えた会話などが、断片的に――而も
幻灯仕掛で頭脳の内壁に投影されるように、はっきりした静止の状態で浮き出してきた。....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
だの、パメラだの、兵営だの、槍騎兵《そうきへい》だのという冗弁は、マリユスの前を
幻灯のように通りすぎた。それらのうちには、百合《ゆり》の花のようなコゼットに関係....
「死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
事たちが、あるいは奇怪なあるいは血なまぐさい、そしていつも陰惨な宿命的なふうで、
幻灯のように私の前を往き来していた。初めの二晩は、不安と恐怖とで私は眠れなかった....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
そのままになっていたのである。しかるに今度スミス氏の発明したものでは、たた一つの
幻灯器に一枚の長いフィルムを使って天然色を現すのである。その法は先ず実物の刻々の....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
のものをたべることも、絶対に禁じられているので、おチビさんは年に何度かの同族会で
幻灯を見るほか、映画というものを生れてからまだいちども見たことがない。映画につい....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
一 まだ十時ごろなので、水がきれいで、明るい海底《うみぞこ》の白い砂に波の動きがはっきり映る。その白い
幻灯のなかで、小指の先ぐらいの小さな魚がピッピッとすばやく泳ぎ廻っている。 硝....
「寄席行灯」より 著者:正岡容
秋色寄席懐古 秋になると、あたしの思い出に、旧東京の寄席風景のいくつかが、きっと、儚《はかな》い
幻灯の玻瑠絵《はりえ》ほどに滲み出す。 京橋の金沢――あすこは、新秋九月の宵が....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
した。それを当て込んで、鳥越の中村座では天明年間の浅間山噴火を脚色した「音聞浅間
幻灯画」という五幕物を十月興行の二番目に出した。作者は黙阿弥であるが、“写絵”を....
「明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
ざりき。 ○七月十五日、磐梯山噴火。それを当込みて、中村座の十月興行に「音聞浅間
幻灯画」を上演し、団十郎、菊五郎、秀調、松之助、家橘ら出勤。浅間山の噴火が評判と....
「わが町」より 著者:織田作之助
字星が美しい光芒にきらめいて、現れた。流星がそれを横切る。雨のように流れるのだ。
幻灯のようであった。説明者は南十字星へ矢印の光を向けて、 「――さて、皆さん、こ....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
横浜から舞い戻った私は、もと家に出入りしていた大工で、大阪の新町でメガネ屋兼
幻灯屋をやっていた寺田清四郎氏に身元引受人になってもらった。こうしたれっきとした....