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幻視
「幻視〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幻視の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
不気味な廃寺のようにも思われてくるのだった。勿論それ等のどの一つも、臆測が生んだ
幻視にすぎないのであろうが、その中にただ一つだけ、今にも秘密の調和を破るものがあ....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
外に逆になって、蜘蛛の巣がらみに、蒼白くくくられてでもいそうに思った。 瞬間の
幻視である。手提はすぐ分った。が、この荒寺、思いのほか、陰寂な無人の僻地で――頼....
「握った手」より 著者:坂口安吾
いかも知れません」 「目に見えるのですか」 「まさか。ボクは狂人ではないのです。
幻視ではありませんよ。ただ思いだすと、すくむのです。絶望するのです」 「狂人では....
「精神病覚え書」より 著者:坂口安吾
人の肉親の一人と思われる青年の二人に抱かれて外来室へ運びこまれてきた。 彼女は
幻視を見ているのである。右に天皇が見え、左に観音が見え、彼女はたゞ拝みつゞけてい....
「深夜は睡るに限ること」より 著者:坂口安吾
ゞることでもあり、その点だけ浦島太郎であるけれども、これは、やめた方がよろしい。
幻視とか幻聴というものは、甚しく不安定な絶望感と抱き合せにあるもので、私自身麻薬....
「わが精神の周囲」より 著者:坂口安吾
入院したのは二月十七八日ごろのことで、そのときは、喋ることも、歩行もできず、たゞ
幻視と幻聴に苦しみつづけていた。すでに歩行も不可能であるから、兇暴期もすぎていた....
「小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
した。私はそれを殆ど信じることが出来なかった。 急速に、幻聴がはげしくなった。
幻視は、まだ、現れなかった。私は昏酔しながら、昏酔を自覚することが出来なかった。....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
者はつつましく生活しており、麻薬中毒や宗教中毒のような騒音はすくない。麻薬中毒も
幻視幻聴が起きるが、宗教中毒もそうである。 私は日本人は特に精神病の発病し易い....
「わが工夫せるオジヤ」より 著者:坂口安吾
ール中毒は却々起らないが、催眠薬中毒はすぐ起る。そして、それは狂人と同じものだ。
幻視も幻聴も起るのである。私は疑っているのだ。神経衰弱の結果、妄想に悩んだり、自....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
それが精神病の誘因であったにしても、要するに、なにか生理的な故障が起らなければ、
幻視も幻聴もでる筈がないのさ。つまり機械のゼンマイだかどこかの部分が狂わなければ....
「金狼」より 著者:久生十蘭
が知れないのだった。しかしその存在は肯定されていた。智能不全な〈那覇〉のボーイの
幻視ではなかったのである。〈その女〉を認めた人間が、ほかにもう一人いた……。 ....
「死の接吻」より 著者:小酒井不木
れが白昼であっても、白く塵にまみれた街路樹の蔭に、首を吊って死んで居る人間の姿を
幻視した。況んや、上野や浅草の梵鐘が力なく響き渡って、梟の鳴き声と共に夜の帷が降....
「迷信解」より 著者:井上円了
である。 その他、俗に雪隠の化け物、舟幽霊、雪女等の怪談あれども、これらはみな
幻視、妄覚より起こりたるものにして、諺に「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の類なれば、....
「えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
こかでオーイと呼ぶ.うっかり釣りこまれて行くと命が危い(20). ――付,幻聴・
幻視などのこと 山中で聞く怪しの呼び声 山の中などで何者とも知れぬ者に呼ばれる....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
だ。先っき上から眺めたあの草原もあのだぶだぶの水も、畢竟沙漠を旅するキャラバンの
幻視に過ぎなかったのであろうか。私は腹立たしくなった。天幕を張れないのは我慢する....