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「幽冥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幽冥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
妖婆」より 著者:芥川竜之介
どうしてあの怪しい婆を、取って抑える事が出来ましょう。たとい警察へ訴えたにしろ、幽冥《ゆうめい》の世界で行われる犯罪には、法律の力も及びません。そうかと云って社....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
大氷河の開口《くち》へでた。 そこは、天はひくく垂れ雲が地を這《は》い、なんと幽冥《ゆうめい》界の荒涼たるよと叫んだバイロンの地獄さながらの景である。氷河は、....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
|アビ鳥。プランクトンの豊富な錫色の海をゆく、砕氷や氷山の涯しない行列。なんと、幽冥界の荒涼たるよ――とさけんだ、バイロンのあの言葉が思いだされてくる。しかしそ....
高島異誌」より 著者:国枝史郎
を責殺しなさるに違い無い。それより、一層自分から死んでほんとの母様のおいでになる幽冥へ参って暮らそうものと、それで覚悟を極ました所……」――「成程」と純八は仔細....
令狐生冥夢録」より 著者:田中貢太郎
令狐※という儒者があった。非常な無神論者で、鬼神変化幽冥果報というようなことを口にする者があると、かたっぱしから折破して、決して神霊....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
は、足を返すまいと思っていた。 声々に、可哀に、寂しく、遠方を幽に、――そして幽冥の界を暗から闇へ捜廻ると言った、厄年十九の娘の名は、お稲と云ったのを鋭く聞い....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
自分で取っておかぶりなさい。 五 神巫たちは、数々、顕霊を示し、幽冥を通じて、俗人を驚かし、郷土に一種の権力をさえ把持すること、今も昔に、そんな....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の守護霊が親める山河に自分も親しんだのでありました。これは単なる偶然か、それとも幽冥の世界からのとりなしか、神ならぬ身には容易に判断し得る限りではありません。 ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
のは、「黄泉」という支那の熟語をくだいてそういったので、黄泉まで尋ねて行きたいが幽冥界を異にしてその行く道を知られないというように解するようになる。守部の解は常....
」より 著者:寺田寅彦
おって地軸と戦う浜の嵐には、人間の弱い事、小さな事が名残もなく露われて、人の心は幽冥の境へ引寄せられ、こんな物も見るのだろうと思うた。 嵐は雨を添えて刻一刻に....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
外に、はた世間のあるのを知って、空想をして実現せしめんがために、身を以って直ちに幽冥に趣いたもののようであるが、婦人はまだ半信半疑でいるのは、それとなく胸中の鬱....
純情狸」より 著者:佐藤垢石
泣き叫ぶ小みどりを、厳しく括り上げたのである。 妖怪変化は、そのまま葬っては、幽冥界から再び帰ってくる虞れがある。まず皮を剥いで取って置き、骸は油をかけて焼い....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
熟と凝視した。 目は、三日四日めから、もう動くようであった。最後に、その唇の、幽冥の境より霞一重に暖かいように莞爾した時、小児はわなわなと手足が震えた。同時で....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
最後にふさわしい極めて悲壮沈痛なる劇的光景であった。空しく壮図を抱いて中途にして幽冥に入る千秋の遺恨は死の瞬間までも悶えて死切れなかったろうが、生中に小さい文壇....
ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
ないか、私はこう恐れていた。 ……父親はこの問題に関しては遂に一と言も口にせず幽冥境を異にした。 ○月 ○日 子供に秘められた血族関係の問題は世に多い。しか....