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幽囚
「幽囚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幽囚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
かった。心に編笠《あみがさ》を冠る思いをして故国を出て来たものがこの眼に見えない
幽囚は寧《むし》ろ当然のことのようにも思われた――孤独も、禁慾も。
....
「倫敦塔」より 著者:夏目漱石
がたくない。帝王の歴史は悲惨の歴史である。 階下の一室は昔しオルター・ロリーが
幽囚《ゆうしゅう》の際|万国史《ばんこくし》の草《そう》を記した所だと云い伝えら....
「乱世」より 著者:菊池寛
た。 四 翌二十八日は、朝から快く晴れた。春が来たことが、
幽囚の人たちにも感ぜられた。寺が高地にあるために、塀越しに伊勢湾の波が見えた。波....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
庄八郎の手を取って押し戴いたということである。信虎は間もなく騙られて、今川家へ
幽囚され、甲斐の国は何んの波瀾もなく晴信の物となったのであった。 土屋庄八郎昌....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の他の平田同門の人たちはわずかに厳刑をまぬかれたというにとどまり、いずれも六年の
幽囚を申し渡され、正香その人はすでに上田藩の方へお預けの身となっていることを知っ....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
た。 と云うのはそれらの人々が、決して苦しんでいるのではなく、そうして何者かに
幽囚されて、呪詛い悲しんでいるのではなく、否々それとは正反対に、喜び歌い、褒め讃....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
放とのために、新理想の楽土王国を築こうなんぞという女性が、あべこべに人を捉えて、
幽囚の身にするなんぞは、矛盾も甚《はなはだ》しい、解放して下さい」 「いけません....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
山の原を思うままに駈け廻って見たい。足下と手を携えて、と言いたいが、しかし久しい
幽囚の身にとってそんな静かな散歩よりも激しい活動が望ましい。寒村などはどうしてい....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ある。
しかるに修道院はその坂の上に彼を引き止めた。
修道院は彼が見た第二の
幽囚の場所であった。青年時代に、彼にとっては人生の初めに当たる時代に、そしてその....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
禁され、明日残らず拷問すると威される、そうして一同新調の絹のかたびらを着せられて
幽囚の一夜を過すことになる。そうして翌朝になって銘々の絹帷子を調べ「少しも皺のよ....
「女大学評論」より 著者:福沢諭吉
を色に現わし言の端に洩らすことあれば誹謗なり嫉妬なりと言う。之を喩えば人を密室に
幽囚し、火を撮《つま》ませ熱湯を呑《フク》ませて、苦し熱しと一声すれば、則ち之を....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
った。 「田沼の所業に相違ない。将軍家に疎んぜられた。そこで将軍家をおびき出し、
幽囚したか殺したか、どうかしたに相違ない。悪い奴だ、不忠者め! その上俺の情婦を....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
歩近寄ったが、「しからばお訊きしたい一義がござる。江戸の能役者観世銀之丞、当家に
幽囚されおる筈、どこにいるかお明かしください!」勢い込んで詰め寄せた。 と、お....
「活人形」より 著者:泉鏡花
家に帰りて屠り殺さるる次第となりけむ、その顛末を記し置くべし。 下枝は北の台に
幽囚せられてより、春秋幾つか行きては帰れど、月も照さず花も訪い来ず、眼に見る物は....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
鎮まった。こうして裁判の判決は下された。一瞬間、伯爵の頭のなかには、ロンドン塔の
幽囚と巨大な罰金とが思い浮かんだ。が、いい渡された判決は、自宅に帰り、謹んで女王....