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幽婉
「幽婉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幽婉の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
。 平野に雲の海があるとき、霞棚引けるとき、それ等を敷莚《しきむしろ》にして、
幽婉な寝姿が影となって望まれる。それは息もないようなしずかな寝姿であり、見る目|....
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
方へ背《そむ》けた。漸く、あの森が、丘の下に沼のように見えるあたりまで来ていた。
幽婉縹渺《ゆうえんひょうびょう》として底知れぬ観である――不図耳を澄ますと、森の....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
女――梢葉子を誘った。 庸三は松川のマダムとして初めて彼女を見た瞬間から、その
幽婉な姿に何か圧倒的なものを仄かに感じていたのではあったが、彼女がそんなに接近し....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
ば吹かねど花は散るものを心短き春の山風」の一章は誰しも感歎《かんたん》するが実に
幽婉《ゆうえん》雅麗で、時や祐《たす》けず、天|吾《われ》を亡《うしな》う、英雄....
「蓮花図」より 著者:宮本百合子
鷺が大変小さいように描いてある。いかにも大きく古き蓮池に霊のような白鷺の遊ぶ趣が
幽婉に捕えられている。蓮花の茎が入り乱れて抽《ぬきん》でている下に鷺を配したとこ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
という自然の微妙さに制約されているのです。この泉の自然への従順さと歎きとは非常に
幽婉な趣きで語られていて、本当に面白い。緑の梢の意欲は泉につたわって、波紋となり....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
必要なるや否やにつきては容易に断言する事|能《あた》はざるものあり。春信の板画の
幽婉《ゆうえん》高雅にして詩味に富めるはむしろ科学の閑却に基《もとづ》けるものの....
「帝国劇場のオペラ」より 著者:永井荷風
の憂悶を慰撫するもの音楽と美姫との外はない。曾てわかき日に一たび聴いたことのある
幽婉なる歌曲に重ねて耳を傾ける時ほどうれしいものはない、と云うような意を述べたも....
「釜沢行」より 著者:木暮理太郎
ている。其中に独り石榴の花が炎をあげて燃えている火のように赤い。それが動もすれば
幽婉の天地と同化して情熱の高潮に達し易い此頃の人の心を表わしているようだ。此際頬....