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幽暗
「幽暗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幽暗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
い信仰といい、国運隆盛のときにはなんの必要もないものであります。しかしながら国に
幽暗《くらき》の臨《のぞ》みしときに精神の光が必要になるのであります。国の興《お....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
淋しいものであった。これを捕える子供らが「オボー三尺|下ンがれよ」という、極めて
幽暗な唄を歌ったと記してあった。 作者もこのオボーの本名を知らないと云っている....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ていたのとは余ほど違っていて、なるほど大木もありますが、昼でも薄暗いというような
幽暗な場所ではなく、むしろ見晴らしのいい、明るい気分のところでした。 「また伐っ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
(ダビデの詩篇第九十一篇)。
夜はおどろくべきことあり
昼はとびきたる矢あり
幽暗にはあゆむ疫癘あり
日午にはそこなう激しき疾あり
されどなんじ畏ることあらじ....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
一 加賀の国|黒壁は、金沢市の郊外一|里程の処にあり、魔境を以て国中に鳴る。蓋し野田山の奥、深林
幽暗の地たるに因れり。 ここに摩利支天を安置し、これに冊く山伏の住える寺院を中....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
たはご存じありませんか」と、彼は低い声で言った。 その動かない二つの眼と、その
幽暗な顔つきを見た時に、彼は人間ではなく、あるいは幽霊ではないかという怪しい考え....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
たらしい。円朝の話術がいかに巧妙でも、今日のように電燈煌々の場内では、あれだけに
幽暗の気分を漂わすことが出来なかったかも知れないと察せられる。 暗い話のついで....
「伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
に出た。ここらは樹がまた密生して居た。池をかこんだ樹陰のほの暗さ、池はその周囲の
幽暗にくまどられ、明方の月のように静寂な水の面貌を浮べていた。白鳥が二三羽いた。....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
縁に突っ立って動こうともせず、首を伸ばして聞き澄ました。 七 (
幽暗なる世界なるかな 蠱物めきしたたずまいなるかな ここにある物は「現在」の頽廃....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
る室に入った。そこは、左右に廊下を置いていて、書院一つ隔てた外縁の※子窓からは、
幽暗な薄明りが漂って来る。入ると、盤得尼は正面の扉を指差して、 「此処で御座いま....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
へ這入った。 友よ、その部屋がもう阿片を吸う部屋だったのだよ。 煙! 臭気!
幽暗なる灯火! 友よ、僕が空想を働かせて斯うでもあろうと思い込んでいた阿片窟と....
「十番雑記」より 著者:岡本綺堂
でないことを思わせた。時は晩秋、今のわたしの身に取っては、この二つの坂の名が一層
幽暗の感を深うしたのであった。 坂の名ばかりでなく、土地の売物にも狸|羊羹、狸....
「自分を鞭打つ感激より」より 著者:小川未明
な話をきいたことがある。その時も、私は、感激を覚えたのです。 何となく私には、
幽暗なロシア――ガルシンを産み、ステプニヤックを産み、ゴルキイの産まれた怖ろしい....
「童話の詩的価値」より 著者:小川未明
は、按摩の笛の音を聞くたびに、眼に浮かんで来る、子供の時分に行った未開の温泉場の
幽暗な景色であります。昼間でも行燈が室の中に置いてありました。知らぬ男が肌を脱い....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
二度目はパリの劇場である。息苦しい、光線の通りの悪い、たいそう上の方の座席で、
幽暗な熱っぽい情熱の渦の流れている込み合った群衆の中でのことである。演奏されたの....