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幽艶
「幽艶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
幽艶の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「厨房日記」より 著者:横光利一
る眼もとは、あまり出歩かない日本の貴族のように血統の美しさを湛えていた。まことに
幽艶な婦人である。 「どうぞ、これめし上れ」 夫人は梶にときどき葡萄酒をすすめ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
半幅を絞った形に、薄い水脚が立った、と思うと、真黒な面がぬいと出ました。あ、この
幽艶清雅な境へ、凄まじい闖入者! と見ると、ぬめりとした長い面が、およそ一尺ばか....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
藍の内部を祭壇のうえの奥の窓から彩色硝子をとおして覗くような、この現世離れのした
幽艶なきらびやかさが刹那の私から観察の自由を剥奪した。が、私の全身の毛孔はたちま....
「鏡花氏の文章」より 著者:中島敦
(勿論日本的な)ものの中で、最も情緒的なもの、――それらが相寄り相集って、ここに
幽艶・怪奇を極めた鏡花世界なるものを造り出す。其処では醜悪な現実はすべて、氏の奔....
「樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
を通して見た一葉女史にも、ほろ苦い涙の味がある。どの作のどの女《ひと》を見ても、
幽艶、温雅、誠実、艶美、貞淑の化身《けしん》であり、所有者でありながら、そのいず....
「水草」より 著者:久生十蘭
亭が自白したようなものだと思うと、暗い水草を枕にしてひっそりと横たわっている娘の
幽艶な死顔がありありと眼に見えてきた。 (〈宝石〉昭和二十二年一月号発表)....