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「幽邃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

幽邃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
弱い動物だ。その耳はやむ時なき猜疑に震えている。彼は頑丈な石窟に身を託する事も、幽邃な深林にその住居を構えることも出来ない。彼は小さな藪の中に彼らしい穴を掘る。....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
ができる。 一風呂の浴みに二人は今日の疲れをいやし、二階の表に立って、別天地の幽邃に対した、温良な青年清秀な佳人、今は決してあわれなかわいそうな二人ではない。....
「食魔」より 著者:岡本かの子
は寂しいようになった。 鼈四郎は檜垣の主人に対しては対蹠的に、いつも東洋芸術の幽邃高遠を主張して立向う立場に立つのだが、反噬して来る檜垣の主人の西洋芸術なるも....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
の景色で洗われたように思われた。瓢箪をさげて見る景ではない。もっと荘厳な、もっと幽邃な景である。汽車は雪よけのトンネルを出たり入ったり、静かな雪の世界に響くよう....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
一 日光掩蔽 地上清涼 靉靆垂布 如可承攬 其雨普等 四方倶下 流樹無量 率土充洽 山川険谷幽邃所生 卉木薬艸 大小諸樹 「もし憚ながらお布施申しましょう。」 背後か....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
に煌めく満天の星、神木の木の下の女神を取巻く小鳥、獣類、人間の小児、それらを囲る幽邃な背景が、エンジンの回転仕掛けで、めぐる、めぐる。次はヘルマン・チェッツ百貨....
「褐色の求道」より 著者:岡本かの子
碑が床の上に屹立して礼拝の標的を示している。この部屋は、光線の取り方も苦心をして幽邃を漂わせているから、此処こそ参詣者の額ずく場所と、私も合点して合掌したのであ....
「女の話・花の話」より 著者:上村松園
交通の不便な土地ですから、めったに行けるところではございませんが、花はほんとうに幽邃で、境地はいたって静かですし少しも雑沓などは致しませんから、ゆっくりした気も....
「山の湯の旅」より 著者:上村松園
た。「天狗の湯」はその名の如く、むかし天狗が栖んでいたところなのでしょう、とても幽邃の境地だというのです。すでにこの山麓の温泉地でさえ、塵に遠い静寂な土地である....
「明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
観化されたものではない。快感を超越した要素がなくてはならぬ。もとより崇高、深遠、幽邃、壮大、雅麗等の諸性質はそなえておらなければならぬが、また超快感的の気韻情調....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
社がある。甲州一と里人の自慢している大杉が幾株か天を突いて、鳥一つ啼かぬ神々しき幽邃の境地である。 社前に富士を写す。すぐ前の紅葉せる雑木林がむずかしい。去っ....
「西航日録」より 著者:井上円了
と名づくる温泉場に立ち寄る。この村は山間の渓流に浜し、水碧に気清く、すこぶる閑雅幽邃の地なり。十八日、さらにルツェルン（Luzern）の町に遊ぶ。この町は前後に....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
く。この地には旅館の美かつ大なるもの多し。その市外および海州には樹木鬱然として、幽邃を極む。実に避暑の良地たり。市中には箱根細工のごとき木細工を販売する商店多く....
「果物の幻想」より 著者:小川未明
ました。 燕温泉に行った時、ルビーのような、赤い実のついている苔桃を見つけて、幽邃のかぎりに感じたことがあります。日光の射さない、湿っぽい木蔭に、霧にぬれてい....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
――そこに自ずから開かれる智慧の光を湛えつつ――は人に伝えるべく、あまりに微妙｜幽邃を極めております。光の中に泳ぐ光とでも申しましょうか。実は眼に障える何物もな....